菅野完著「日本会議の研究」を読んだ。本書は、日本会議の経歴や組織、活動、安倍政権との関係などについては、以前紹介した青木理著「日本会議の正体」と大枠で類似しているが、徹底した情報収集と取材を通じて、日本会議を支える重要人物、実行部隊、黒幕などをリアルかつ詳細に記述しているところがユニークである。

日本会議の右傾化路線の桃源は、「70年代成長の家学生運動」における「椛島有三」、「伊藤哲夫」、「教団」の3グループの活動にあった。
「椛島有三グループ」は、「日本青年協議会」を率いて日本会議の実行部隊とし、国会議員懇談会を介して安倍政権に繋がる。また、首相補佐官・衛藤晟一は日本青年協議会幹部である。
「伊藤哲夫グループ」は、「日本政策研究センター」を通じて安倍政権に繋がる。代表・伊藤哲夫は安倍の私的ブレーンである。
「教団グループ」は、「谷口雅春先生を学ぶ会」を通じて草の根保守への支援を行い、安倍政権の「大義の支持」による精神的支柱になっている。谷口雅春は成長の家創始者である。
そして、これらのグループを束ねる黒幕は、成長の家政治局政治部長の安藤巖である。

重要人物としてあげられているのは、先ず、日本政策研究センター代表・伊藤哲夫である。安倍政権の生みの親とさえ言われ、東京基督教大の西岡力、福井県立大の島田洋一、高崎経済大の八木秀次、京都大の中西輝政の各教授とともに、安倍のブレーン「五人組」と称される。
2人目は日本大教授・百地章である。「集団的自衛権合憲」を主張する憲法学者で、「美しい日本の憲法を作る国民の会」幹事長、「二十一世紀の日本と憲法」有識者懇談会事務局長を務める。
3人目は明星大教授・高橋史郎である。日本青年協議会幹部で、非科学的な「親学」を提唱している。

今後ますます「改憲」に向けて、日本会議・日本青年協議会の国民運動は苛烈さを増してくるであろう。彼らは「きわめてファナティックで」、「特殊すぎる思想で政治運動をする」人々と言わざるを得ず、安倍政権は、このような人に支えられ、改憲路線を突き進んでいるのだ。

 水野和夫著「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んだ。本書は現在、16世紀以来世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌を極めていく「歴史の危機」状態にあり、未だ見えない次のシステムへのソフトランディングを実現するには、準備期間として脱成長の定常状態社会を構築する必要があると主張している。

資本主義は「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」つまり、いわゆるフロンティアを広げることによって「中心」が利潤率を高め、資本の自己増殖を推進していくシステムであり、現在もう地理的なフロンティアは残っていない。また、株式の高速取引システム化に見られるように、「電子・金融空間」のなかでも、時間を切り刻み、1億分の1秒単位で投資しなければ利潤を上げることができない。先進諸国の政策金利はおおむねゼロ、国債利回りも超低金利となり、資本の自己増殖が不可能になってきている。つまり、資本主義が終わりに近づきつつある。

さらに、中間層が自分を貧困層に落としてしまう資本主義を支持する理由がなくなっている。こうした現実を直視すれば、資本主義が終わりを迎えることは、必然的な出来事とさえ言える。資本主義の終わりの始まり。この「歴史の危機」から目をそらし、経済成長という旧来の信仰にすがって対症療法にすぎない政策を打ち続ける国は、この先、大きな痛手を負うはずである。

アベノミクスの第一の矢、金融緩和によるデフレ脱却はできない。金融グローバリゼーションにより貨幣数量説は成立せず、貨幣が増加しても金融・資本市場で吸収され、資産バブルの生成を加速させるだけである。そしてバブルが崩壊すれば、巨大な信用収縮が起こり、そのしわ寄せが雇用に集中する。
アベノミクスの第二の矢である積極的な財政出動も無意味であることは、90年代以降の日本が実証している。理由は、すでに経済が需要の飽和点に達していたからである。財政出動は「雇用なき経済成長」の元凶になる。なぜなら、過剰設備を維持するために固定資産減耗を一層膨らまし、ひいては賃金を圧迫することになるからである。

資本主義の暴走にブレーキをかけながらソフトランディングするには、少なくともG20が連帯して、巨大企業に対抗する必要がある。具体的には、法人税の引き下げ競争に歯止めをかけたり、国際的な金融取引に課税する仕組みを導入したりする。そこで徴収した税金は、食糧危機や環境危機が起きている地域に還元することで、国境を越えた分配機能をもたせるようにする。

ソフトランディングに失敗すれば、これまでの歴史が示すような国家間の大規模戦争はないとしても、国家の財政破綻や国内労働者の抵抗、内乱を生み出すかもしれない。そして長期の世界恐慌の状態を経て、世界経済は定常状態へと推移していく。そして次にどのようなシステムが形成されるのかは、現時点では誰にもわからない。

安倍政権は、経済成長という旧来の信仰にすがって対症療法にすぎない政策を打ち続けており、日本はこの先、大きな痛手を負うことになる。次の社会システムの構想、推進準備、実行には長期的な取り組みが必要だが、ほとんどの政治家は自分の任期という短期間しか視野にないから、すぐに成果が見える花火のようなイージーな政策だけを考え、国民生活は置き去りにすることになる。安倍は特にその傾向が強い。

 堤未果著「沈みゆく大国アメリカ」を読んだ。本書は、強欲資本主義のもと各国を食い物にしてきたアメリカの医産複合体が、次のターゲットとして100兆円規模の日本の医療・介護ビジネスに魔手を伸ばしていると警告している。1986年1月の薬と医療機器の市場開放を謳うMOSS協議決着をはじめとして、2011年まで米国から7件の「医療の市場開放」要求リストを日本は受け入れてきた。

これらをシンプルかつスピーディに進めるために、「経済財政諮問会議」という組織を作った。総理自らが求める意見を、総理が議長を務める諮問会議で議論して、結論を出す。次に、これまた総理が議長を務める閣議に出すと自動的に決定、晴れて「政府の政策」となる仕組みである。これに類する会議がほかに7件もあり、選挙で選ばれていない民間議員が政策を決めている。

混合診療にすると、だんだん公的保険枠から高額の自由診療枠に治療や機器・薬剤が移り、終いには「国民健康保険制度」は残っても、使える範囲がどんどん小さくなり、お金がない人は最低限の基本治療しか使えず、経済力イコール命の格差というアメリカと同じ状況になる。

医療の市場開放は外部からのアプローチだけではなく、規制なしの企業天国を作る「国家戦略特区」という内部からの取り組みもある。安倍政権は、今後これを全国に広げるための法整備を目論んでいる。これはTPPと表裏一体をなして、規制緩和を永久に固定化する。
さらに、WTOで自由化できない部分、例えば公共サービスなどを自由化する国際条約「TiSA」がある。現在23の国・地域が協議に参加中。旗振り役アメリカの最大のターゲットは、日本の医療分野で、混合診療、病院経営への株式会社参入、病床規制撤廃など、医療の商品化と国民皆保険制度形骸化につながる内容がてんこ盛りである。

 植草一秀著「日本の独立」を読んだ。本書は、2009年8月の政権交代で発足した民主党・鳩山内閣が、短期間で崩壊した原因、及び安倍政治の基盤である小泉竹中政治の大罪を究明し、米国、官僚、大資本、政治屋、メディアの五者(=ペンタゴン)による利権複合体が日本を支配していることを詳述している。

小泉竹中政治の大罪は、日本経済の破壊、官僚利権の温存、政治権力と大資本の癒着、対米隷属政治、権力濫用と官邸独裁であり、その闇は「平成の黒い霧」と呼ぶべきものである。具体的には、新生銀行上場認可、りそな銀行乗っ取り、郵政米営・私物化、かんぽの宿不正払い下げ未遂、日本振興銀行設立などである。

日本政治が変革を遂げ、主権者国民政権を樹立し、日本が真の意味での独立を実現するための条件は、政治家にふさわしい人材が多数現れることと、国民が賢くなることである。具体的には、「企業団体献金の全面禁止」により、金儲けではなく人々のために役立つことを動機とする政治家を増やし、国民は、あらゆることを疑い、自分の目で見て、自分の頭で考えることにより、支配者に操作されずに真実を見抜く賢い主権者になる。

また、日本の安全を確保するには、1憲法九条に基礎を置く平和外交の積極的な推進、2専守防衛体制の整備、3東アジアの集団安全保障体制確立という三本柱の構築が必要である。この基本体制確立によって、日本の自主・自立の安全保障体制が整備され、日米同盟は不要になる。

 孫崎享著「日米同盟の正体」を読んだ。本書によれば、日米安保条約は、2005年10月29日に日本の外務大臣、防衛庁長官と米国の国務長官、国防長官が署名した「日米同盟:未来のための変革と再編」という合意文書によって取って代わられた。対象の範囲が極東から世界に拡大され、理念面では、国際連合の役割重視から日米共通戦略にシフトした。つまり、日本は国連と無関係に、米国の戦略に沿って中東など世界規模で軍事展開する約束をしたことになる。具体的には、自衛隊は米軍と一体化し、その一部となって米軍司令部の指揮下で、世界各地で軍事活動をするということである。当然戦傷など危険を伴う。

安保条約ですら、地位協定や各種密約からみて極めて不平等な条約であり、60年以上全く改善の努力がなされていないという政府の怠慢にもかかわらず、それをはるかに超える桁違いに隷従的な合意文書に署名するとは、自ら主権を捨ててアメリカの属国になり下がったと言わざるを得ない。安倍が憲法違反の戦争法を強行採決したのは、この合意文書を現実化するための国内法整備だったのだろう。それにしても、日本国民はいつまでアメリカ隷従政権を黙認していくのか?江戸ー明治時代に培われた「お上と民」意識が染みついて、体質化してしまっているのだろうか?


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