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 三谷太一郎著「日本の近代とは何であったか」を読んだ。本書は、英国の政治・経済ジャーナリストであるウォルター・パジェットの「自然学と政治学」における欧州近代の鍵概念「議論による統治」「貿易」「植民地」を指標として、日本近代の把握を試みたもの。

第一章は、「議論による統治」の日本的形態の成立を問題とした。日本近代化路線の様々な挫折にもかかわらず、政党政治に体現された「議論による統治」は、日本近代が達成した最大の成果と見る。

第二章は、「貿易」の問題を、日本の資本主義の形成と展開およびその特質を論じた。日本の資本主義も日本近代のもう一つの成果であった。しかし、2011年の東日本大震災による原発事故によって、幕末以来の日本の近代化路線に致命的な挫折をもたらした。すなわち、日本資本主義の基盤そのものへの疑問を突きつけ、日本近代そのものへの根源的批判を惹起した。

第三章は、日本の植民地帝国が、なぜ、いかに行われたかを問うた。植民地帝国は日本近代の最大の負の遺産である。日本は莫大な資本と時間とエネルギーとそして国民の情熱を投下して、なぜ、このような負の遺産を負うことになったのか、それは日本近代それ自体への深刻な問いである。

第四章は、近代天皇制への問いである。明治国家の設計者たちが「近代化」を「欧州化」として行おうとした際に、欧州の原点に「神」があると認識したことを前提とした問いである。彼らは、天皇が欧州の「神」に相当する役割を果たさなければならないと考えた。しかし、現実の天皇は「神」に代替できないので、天皇を単なる立憲君主にとどめず、「皇祖皇宗」と一体化した道徳の立法者として擁立した。

「文明開化」「富国強兵」というスローガンによって方向づけられた幕末以来の日本近代化路線は、もっぱら日本国家の対外強化を目的とする一国近代化路線であった。今後必要な事は、かつて日本近代化を支えた社会基盤を、様々の具体的な国際的課題の解決を目指す国際共同体に置き、その組織体を通して、グローバルな規模で近代化路線を再構築することではないだろうか。そのためには、何よりもアジアに対する対外平和の拡大と国家を超えた社会のための教育が不可欠である。

















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