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 ジョセフ・E・スティグリッツ著「これから始まる新しい世界経済の教科書」を読んだ。2009年から2011年までの収入増加の91%が、アメリカ国民の最富裕層をなす1%の人々の懐に収まっている―不平等な経済成長の縮図。本書はアメリカ経済の問題点と修正策を説明している。アメリカ経済は、経済の自然法則のせいでバランスを崩したのではなく、今日の不平等は、資本主義の避けがたい発展の結果生じたわけでもない。経済を支配するルールのせいでこうなった。ルールを変えて、一般家庭のために経済の安定をうながせば、経済はよい方向へ進む。

今の経済を形作っているルールは、正統派経済学を拠り所として定められた。それはサプライサイド(供給重視の)経済学だ。それは規制に反対し、税金と福祉制度が成長を妨げているとした。この考え方は、規制緩和と最上層に対する減税だけでなく、社会保障制度と公共投資の支出削減にもつながった。その結果、高額納税者の税率は引き下げられ、規制は撤廃されたが、利益はその他大勢のもとにトリクルダウン(滴り落ち)しなかった。これらの政策は、最大手企業と最富裕層の富を増し、経済的な不平等を拡大したが、その信奉者たちが約束した経済成長は生み出さなかった。

本書は主にアメリカについて論じているが、アメリカで起こっていることは、世界中の多くの国々でも起こっている。日本のアベノミクスもサプライサイドの経済政策といえる。アメリカと同様にトリクルダウンはなかった。本書の指摘は正しいようだ。

アメリカ経済の修正策の第一は、最上層に過度な報酬を与える一方で他の人たちの出費を増やし、経済の効率と安定性を低下させるレントシーキング(企業が政府官庁に働きかけて法制度や政策を変更させ、利益を得ようとする活動。自らに都合がよくなるよう、規制を設定、または解除させることで、超過利潤(レント)を得ようという活動)の行動を抑えること。

修正策の第二は、中流層のために安定と機会を確保するルールと制度を取り戻すこと。完全雇用とインフラ整備への投資を取り戻すこと。労働者を守り、生産性に見合った賃金を確保できるようにルールを更新し、施行すること。あらゆる労働者、とりわけ女性、非白人、移民が労働市場に参加するさいの生涯を減らすこと。

本書には修正策を実現するための様々な具体的な方策が述べられているが、いずれにしてもルールと制度を変えることになり、政府や議会がそのための政令や法律を立案し、施行しなければならない。しかし、政府や議会が既成勢力の反発に抗して経済修正を成し遂げられるか否かは、政府や議会が本当に改革が必要不可欠だと認識するかどうかにかかっている。現状維持で満足している政府や議会では実現はおぼつかない。例えば日本の安倍政権では改悪されることはあっても、改善されることはないだろう。

















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