fc2ブログ
 ダニエル・M・デイヴィス著「美しき免疫の力」を読んだ。本書は複雑で壮大な免疫システムの全体像と免疫学の研究の最前線を伝える。免疫システムが攻撃対象の異物のうち、体内に侵入した病原菌と食物や腸内細菌を区別する方法、高齢者の免疫機能低下の理由、自己免疫疾患の原因、がん免疫治療の仕組みなどの説明だけでなく、発見に至った思考の流れや具体的な研究、研究に生涯をささげた科学者たちの物語をつづることで、免疫学の歩みを描き、免疫概念の核心部を浮き彫りにし、科学者を魅了する美の世界を読者に垣間見せる。

免疫システムには自然免疫と獲得免疫がある。自然免疫は病原体や感染細胞だけに見られる分子パターンと結合できるように作られた決まった形状の受容体(パターン認識受容体)による単純システムで、獲得免疫は過去に遭遇した病原体の記憶として体内に長くとどまる免疫細胞(T細胞、B細胞)の受容体による複雑で精巧なシステムである。

T細胞もB細胞も骨髄にある造血幹細胞から作られ、細胞の中で受容体遺伝子の再構成により、細胞ごとに独自の形状をした受容体がランダムにできあがる。ただし、T細胞もB細胞も血液中へ旅立つ前に受容体検査を受け、健康な細胞と結合できてしまう受容体を持つ細胞は排除される。こうして免疫システムは「自己」と「非自己」を識別する。

















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2024 個人出版コミュニティ, All rights reserved.