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 クリストフ・ニック著「死のテレビ実験」を読んだ。本書は、副題に”人はそこまで服従するのか”とあるように、人はいかにやすやすと権威に服従するかを、テレビ実験を通じて解明している。その実験とは、かつてアメリカの社会心理学者スタンレー・ミルグラムが実施した著名な実験(通称、アイヒマン実験)のテレビへの応用である。

ミルグラムは科学実験という<権威>のもとで、被験者が見ず知らずの相手に電気ショックを与える場を設定した。結果は、多くの被験者は相手が死んでもおかしくない最強の450ボルトまでスイッチを押し続けた。

本書は、<権威>を「科学実験」から「テレビのクイズ番組」に置き換え、架空のクイズ番組「危険地帯」のパイロット版を作るという名目で、一般参加者80人を出題者として募集し、解答者(実は俳優)が間違えたら、最高で460ボルトまで電気ショックを与えるよう命令した。50年前のミルグラムの実験では、<権威>に服従して最後まで電気を流した被験者は60%強だったのに対して、テレビを<権威>として行ったこの実験では、81%の人々が最後までクイズを続け、致死量の電気ショックを与えた。

本書のメッセージは「テレビが大きな権力を持っていて、近い将来その力を乱用する可能性が十分にありうる」ということである。本書は2011年に発行されたものであるが、2019年現在の日本では可能性ではなくすでに現実化している。民衆のほぼ半数は、官製メディアのNHKや読売新聞、産経新聞、政府の圧力に屈し忖度番組を垂れ流す民放テレビなどの<権威>に服従し、強圧的で無能な独裁政権を支持し続けている。

本書ではフランス2で放映された「死のテレビ実験」の模様を実録的に伝えると同時に、被験者の心理状態や服従のメカニズムについて、より深い分析や解説を行っている。その結果、テレビの権力についてだけでなく、私たちの社会がどうなっていくのかについても考察を広げている。

著者の一言、人は自分で思っているほど強くはない。「自分は自由意志で行動していて、やすやす権威に従ったりしない」、そう思い込んでいればいるほど、私たちは権威に操られやすく、服従しやすい存在になる。

















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