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 適菜収著「安倍でもわかる保守思想入門」を読んだ。本書は安倍という個人を「拡大鏡」として利用しながら、今の日本がダメになってしまった原因を追究したものである。結論的には「近代」が理解されていないからで、同義的には「保守」が理解されていないからであると述べている。

著者は安倍が「保守」の対極に位置する人物であり、大衆社会の腐敗の成れの果てに出現した「左翼グローバリスト」に過ぎないと主張しているが、新自由主義のグローバリストはともかく安倍が左翼というのは少し違和感がある。安倍の常套句「美しい日本」や「日本を取り戻す」、靖国参拝や偏執的改憲志向、アメリカ隷従、反共といった言動を見れば、権力主義的親米右翼という方がしっくりくる。あるいは、何の主義主張もあるわけではなく、権力維持のためにまわりの取り巻きや支持母体の提言を思いつきでつまみ食いしているだけの裸の王様と言った方が良いかも知れない。

各章の構成は、冒頭のコラムで代表的な保守思想家を紹介し、国会や講演会などでの安倍の様々な言説を取り上げて、安倍が保守の対極に位置する人物であることを示している。安倍の言説に対する著者の批判はすべて適切でうなづける。

本書を読んでよかったのは、私の「保守」や「保守主義」に対する理解が間違っていたと気付かされたことである。本書によれば「保守」とは大事なものを「保ち守る」ということでその基盤になるものは常識で、常識は伝統により生成される。保守はゆっくり慎重に改善する漸進主義になる。しかし、急激に世の中が変わっていく中、意識的に常識を維持し愛着ある日々の生活を守るために保守主義が発生する。保守主義の本質は「人間理性に懐疑的であること」である。抽象的なものを警戒し、現実に立脚する。立憲主義は保守思想の根幹である。

















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