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 青木理著「ルポ 国家権力」を読んだ。本書は著者が各紙誌に発表してきた作品の内、ルポルタージュを主に収録したものである。内容は、法務・検察や刑事司法の歪、石原都政や都議会の問題点、沖縄タイムス連載原稿、死刑問題などである。

国松長官狙撃事件は、刑事警察ではなくオウム真理教による犯行と見立てた公安警察が主導し、現職の警視庁巡査長が犯行を自供すると言う経過を辿り、しかも公安部がそれを隠蔽していたことが発覚し、警視庁公安部長が更迭された。東京地検は証拠不十分から不起訴とし、ついに公訴時効を迎えた「呪われた事件」であった。
公安警察は、巡査長がオウム信者であることを狙撃事件前につかんでいたにもかかわらず、公安部幹部の独断で握りつぶされ、巡査長の身辺調査に着手しなかったことが迷宮入りの原因となった。

公安警察には「チヨダ」と呼ばれる極秘組織があるが、これ以外に「I・S」または「07」と呼ばれる全く新しいタイプの公安秘密組織がある。従来の活動から零れ落ちている政治関連、マスコミ関連などの「幅広情報」の収集、管理を行う組織である。収集した情報を恣意的に使えば、公安警察が政治的な謀略機関と化す危険性がある。例えば収集した情報をメディアなどに流し、世論操作や政治家攻撃を行うなど。

各省庁の天下り斡旋は法で禁じられたが代替制度が未整備の状態で、警察庁がダミー会社「サン総合管理」を設立し、違法な天下り斡旋を行わせている。この会社は、警察庁の元人事課長がトップを務め、全役員が警察OBである。都道府県の警察主導の暴排条例は、警察OBの天下り先拡大の狙いがあるとみられている。

公証人システムは、天下りなど法務・検察組織全体の構造的利権の中核である。公証人の一人当たり年間売上高は、平均3300万円、経費は売る上げの三分の一から半分。つまり、平均で1500万円以上の収入を得ている。公証人の七割が判事と検事のOBで、中でも検事が最大勢力。一般対象の公証人試験は一度も実施されていない。公証人という利権を判事と検事が共有していることが、裁判所が検察に追従する要因の一つとなっている。

石原都政は、強引な独善と場当たり的な施策に悪弊が極大化し、都政の現場は混乱と怨嗟ばかりが渦巻いていた。都が1000億円という巨費を出資する「新東京銀行」は、設立から二年で累積赤字が500億円近くに膨らんだ。「首都大学東京」は、復古国家主義的な石原の友人やお気に入りの人物をトップに据えた「石原大学」に過ぎない。
石原は豪華外遊や高額交際費のほか、都の文化振興事業(TWS)に四男・延啓を重用するなど、「都政私物化」で非難された。また腹心の副知事や特別秘書、友人や知人を都政に重用する側近政治であった。(安倍とそっくりだ!)

















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