木下栄蔵著「資本主義の限界」を読んだ。日本経済の低迷を「正と反の経済」という概念を用いて簡明に説明している。この理論によれば、アベノミクスは、日本が反の経済下にあることをを認識していない間違った逆方向の政策であり、破綻するのは時間の問題であることがわかる。

「正の経済」とは、供給より需要が大きい「インフレギャップ」の存在する経済空間であり、「反の経済」とは、供給より需要が小さい「デフレギャップ」の存在する経済空間である。
「正の経済」のもとでは、デフレギャップがなくモノは作れば売れるため、個人が効用の最大化を目指し、企業は利潤の最大化を目指すことで、社会全体の最大幸福が達成される。「反の経済」のもとでは、供給が需要を上回っているため、モノを作っても売れるとは限らず、企業は利潤の最大化よりも債務の最小化を目指し、個人も支払いの最小化を考えて消費を控え、貯蓄に向ける。こうして、銀行に多額のお金が滞留することになる。この銀行に滞留したお金こそ、デフレギャップの正体である。

アベノミクスの金融政策は、黒田日銀総裁による異次元緩和と追加金融緩和を目玉としているが、日本は「反の経済」下にあり、銀行にお金が滞留つまりお金が余っている状態なのに、マネーサプライを増額させてさらにお金を余らせようという、デフレギャップを増大させるだけの逆方向の過った政策と言える。

マイナス金利や異次元金融緩和により、銀行やタンスに滞留していたお金は株式市場に流れ、バブルを形成した。デフレギャップが限界までいけば、「反のバブル」が破裂し株式市場は大暴落し、日本経済に大きな打撃を与えることになるが、皮肉にもこれが「反の経済」を脱出する機会を与えることになるのかもしれない。

















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