ジム・アル=カリーリ&ジョンジョー・マクファデン著「量子力学で生命の謎を解く」を読んだ。本書は、「量子生物学」の最新の成果と可能性を、豊富な実例を通して明らかにしたもの。量子生物学は、これまでの生物学では解けなかった様々な謎を解明してきている。

ヨーロッパコマドリは、量子もつれ状態にある遊離基のペアを使って飛ぶ方向を決め、毎年3000キロの渡りを正確に行う。光受容体クリプトクロムによって、鳥の目が量子コンパスとして作用し、鳥の磁気受容を成立させる。オオカバマダラチョウも同様の仕組みで渡りを行う。

ラクトースを食べられない細菌が、ラクトースのみの環境に置かれて何日か経ってから急に、ラクトースを食べるコロニーが大量に現れる「適応的突然変異」は、標準的な進化論では説明できない。遺伝子が量子情報系だとすれば、ラクトースの存在が量子測定になる。細菌のDNAに含まれる陽子は、変異を引き起こす位置にトンネルし、またもとの位置にトンネルして戻る。量子測定により陽子の位置はどちらかに収束するが、変異を起こす位置だったら遺伝子が訂正され、ラクトースを食べ成長して増殖する。

量子振動説によれば、嗅覚受容体の生体分子は、電子の量子トンネル効果を使って化学結合の振動を感知している。受容体分子の「ドナー部位」に電子が1個あり、捕まえた匂い分子が適正な振動数の結合を持っていると、電子はトンネル効果によって同じ分子内の「アクセプター部位」へ飛び移る。この電子がつながれていたGタンパク質の魚雷を発射させ、それによって嗅覚神経細胞が発火して信号が脳へ伝えられる。

生命は量子の世界と古典的な世界との縁を航海している。細胞は細長いキールを量子の層までまっすぐに突き刺した船のようなもので、そのためにトンネル効果や量子もつれなどの現象を利用することで生き続けることができる。量子の世界とのこの結びつきを積極的に維持するには、熱力学の嵐(分子ノイズ)を利用して、量子コヒーレンスを壊すのではなく維持しなければならない。

















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