リサ・ランドール著「ダークマターと恐竜絶滅」を読んだ。3分の2は現在までの宇宙論や惑星科学のおさらいで、後の3分の1が宇宙の小規模スケールの構造における予測と観測の不一致の原因を説明するダークマターの新モデルの提示である。

不一致の一つ目は、通常のダークマターの特性(相互作用は重力だけ)を前提とする数値シミュレーションが、小規模なスケールでの密度プロファイルの観測結果と一致しないことである。最もよく知られる不一致は、「コアーカスプ問題」と呼ばれているものである。
天体内部の物質の密度プロファイルは、予測では「カスプ(尖頭)状」になる。つまり、ダークマター密度が中心部に近づくほど急激に上昇するので、銀河や銀河団の中心領域は高高密度になっていると予測される。しかし、観測結果によれば、ほとんどの銀河はカスプ状ではなく、「コア(平坦に近い)状」のプロファイルを示す。

二つ目の不一致は、銀河や銀河団の中心領域と天の川銀河近傍の矮小銀河の数が、理論上の予測と一致しないことである。予想では、矮小衛星銀河はおおよそ全方向に向かって球状に分布するはずである。しかし、アンドロメダ銀河のまわりを周回する約30個の矮小銀河のうち、約半数はほぼ平面上に分布していて、そのほぼすべてが共通の周回軌道方向を持っているのである。

上記の不一致を解決するダークマターの新モデルが,ダブルディスク・ダークマター(二重円盤ダークマター)」(DDDM)である。まず、二種類のダークマターを仮定する。大多数を占めるのが、重力だけを通じて相互作用する従来通りのコールドマターで、少数派は、重力だけでなく電磁力に似た新種の力(ダーク電磁力)を通じても相互作用するとする。
前者は、球状のハローを形成し、後者は、相互作用によりエネルギーを発散するので、通常の物質と同じように、冷えて円盤(ダークディスク)を形成することができる。円盤状になるのは、角運動量の保存則から、垂直方向(回転軸方向)以外には収縮できないためである。
ダークディスクは、天の川銀河の中央平面に沿った通常物質の円盤の内側にすっぽり収まる(二重円盤)と考えられる。

太陽系が銀河面に入った時や近づいたときには、円盤の重力の潮汐効果が最も強く太陽系に働く。このとき、高密度のダークディスクの潮汐力の影響で、オールト雲の緩く結びついた天体の一部が安定性を失い、太陽系の内側に向かわせられ、彗星として地球への衝突コースに入る。本モデルによれば、大規模な彗星衝突の周期は、恐竜絶滅の時期であるK-Pg絶滅の時期と一致する。

















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