前泊博盛著「本当は憲法より大切な日米地位協定入門」 を読んだ。これを読めば、戦後70年も経過した現在でも、敗戦時の米軍による占領状態となんら変わっていないことが実感できる。各地の米軍基地における米軍駐留の法的根拠は、屈辱的な日米安保条約、日米地位協定であり、政治的根拠は、非公表の密約及び日米合同委員会の議事録と合意書である。
これらの法的及び政治的根拠は、実質的に憲法より上位にあり、米軍基地は真の治外法権領域であり、米軍人及び軍属には、基本的に日本の国内法およびそれに基づく裁判権が適用されない。
そもそも地位協定は、アメリカが占領期と同じように、日本に巨大な権益を持つ合衆国軍隊を配備し続けるための取り決めなのである。

戦後70年も経つのに、外国の軍隊が治外法権の下に駐留し、基地のための土地借用料と軍隊に必要な諸経費を、自国民から徴収した税金で賄っている国は、世界中探しても日本だけである。日本は表面的には主権のある独立国家のふりをしているが、実態は宗主国アメリカの属国・植民地であり、首相は植民地の総督に過ぎない。歴代の自民党政権で、この屈辱的な状況から脱し、あまりにも不平等な日米安保条約、日米地位協定を真に改定しようとした政権はない。
岸信介の安保条約とそれに伴う地位協定の改定は、条文の削除改変であたかも改善されたように見せかけているが、その実、条文に記述するには不都合な内容を、密約に押し込んだだけで、旧安保条約と実質的には何も変わっていないインチキ改定である。安保改定反対闘争に値しない改定であったと言える。

地上の米軍基地及び基地間移動における治外法権だけではなく、基地周辺及びその上空の広大な領域(ラプコン)が、米軍による航空管制下にある。そのため、那覇空港への民間機の離着陸は、このラプコンを避けた狭隘な航路を軽業のように航行しなければならない。ラプコンを避けて関西方面へ羽田空港から離陸するには、一旦千葉方向へ向かい急反転、急上昇してラプコンを越えて関西方面に向かわなければならない。つまり、米軍による航空管制のために、民間機の離着陸事故が起こりやすいのである。

米軍関係者は、出入国審査などの手続きを一切行わずに、基地に到着したり基地から飛び立ったりできるから、日本政府は、自国内にどんなアメリカ人が何人いるか全く分かっていない。海兵隊のグアム移設費用8000人分は、実数3000人分を水増ししているが、日本政府はこれを黙認しして日本国民の税金から支払う計画になっている。

講和条約調印後の無期限米軍駐留の道を付けたのは、「沖縄メッセージ」で沖縄の米軍駐留を日本政府の頭越しにアメリカ政府に要請した昭和天皇と、独断専行で極端な対米従属路線とった吉田茂であり、米軍基地を治外法権領域と法的に位置づけたのは、米軍基地の違憲性問いただした「砂川事件」で、違憲とした一審判決を捻じ曲げて米国政府の意向どおりの政治的判決を下した田中耕太郎最高裁長官である。いわば戦後の三悪人である。

そして、安保条約と地位協定を盾に、米軍基地の治外法権維持を図る日米合同委員会の日本側メンバーである外務省および各省庁のエリート官僚たちがいる。その後の歴代の自民党政権は、吉田の対米従属路線を踏襲し続けており、自分たちの保身のために国民に負担を押し付けるだけで、アメリカの植民地状態から抜け出す方向の政策努力を一切やっていない。つまり、自民党政権は諸悪の根源と言える。日本という家を食い尽くし崩壊させる白アリのようなものである。

















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