レイ・カーツワイル著「ポスト・ヒューマン誕生」を読んだ。GNR(遺伝学・ナノテクノロジー・ロボット工学)というテクノロジーの指数関数的な進化によって、人類は2045年に特異点を迎えるという未来予測である。特異点とは、テクノロジーが急速に変化し、それにより甚大な影響がもたらされ、人間の生活が後戻りできない程に変容してしまうような、来るべき未来のことである。

生物およびテクノロジーの進化の歴史を、六つのエポックに分けて概念化すると、特異点はエポック5で始まり、テクノロジーと人間の知能の融合が進む。エポック6において地球から宇宙全体へと広がっていき、宇宙の物質とエネルギーのパターンに知能プロセスと知識が充満し、宇宙が覚醒する。

遺伝学は、情報と生物学の交差点である。来るべきバイオテクノロジー革命により、デザイナー・ベビーや後天的な遺伝子改変、老化阻止などが実現する。ナノテクノロジーは、情報と物理世界の交差点である。ナノテクノロジー革命は、人間の身体と脳と、われわれが相互作用している世界を、最終的には分子レベルで再設計・再構成できるようにする。ロボット工学は、ここでは強いAI(人間の知能を超える人工知能)を取り上げる。例えば、脳のリバースエンジニアリングによって人間の知能の作用原理が解明され、それを脳並みのコンピューティング・プラットフォームに適用する。AIの学習速度は。人間の学習速度よりずっと早く、自身のシステムを急速に改良し、やがて超知能に進化する。

GNR革命が絡み合って進むことにより、バージョン1.0の虚弱な人体は、はるかに丈夫で有能なバージョン2.0へ、さらにはバージョン3.0へと変化する。体内で何十億ものナノボットが病原体を破壊し、DNAエラーを修復し、毒素を排除し、健康を増進することにより、人間は老化することなく永遠に生きられるようになる。脳内では、ナノボットが生体ニューロンと相互作用し、あらゆる感覚、感情を統合して完全没入型のヴァーチャル・リアリティを作り上げる。そして、人間は脳も身体も大半が非生物的なもの、いわばサイボーグになっていく。

極めて楽観的な技術至上主義の本である。これまでテクノロジーが指数関数的な進化をを遂げてきた実績に基づき、将来も指数関数的な進化が継続するという前提で議論を進めている。そして、テクノロジーによって人間も社会も不可逆的に変容すると未来予測しているが、テクノロジー以外の政治・経済・文化などの要因が全く考慮されていないのは、片手落ちのような気がする。

















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