柿崎明二著「検証 安倍イズム」を読んだ。本書は、安倍の言動を国会審議や政府の会議の議事録、著作、公表された提言、報告書などから読み解き、「安倍イズム」と名付けた国家先導政策の背景にある、安倍の「思考と意思のかたち」を浮かび上がらせたものである。

国家の肯定的な役割を高く評価する一方、否定的な面にはあまり触れない、いわば国家性善説的な見方が、安倍の「思考と意思」の根底をなしている。それに基づき、「取り戻す政治」と「関わっていく政治」を展開する安倍イズムは、「心情レベルの国家主義」と言える。これを延長、極大化していけば、限りなく国家主義体制に近づく。国家が、先頭に立って関係者あるいは国民を目指す目的に導こうとする一連の手法を「国家先導主義」と名付ける。

「国家主権」を重視する安倍にとって、1945年9月2日から7年弱、「主権を奪われ、日本が日本人以外のものだった」期間であり、「歴史の断絶」であった。従って、この間に制定された現憲法や旧教育基本法は、「戦後レジーム」の象徴であり、東京裁判もしかりであった。かくして安倍は、占領期に失われた誇りと価値を「取り戻す」政治を目指す。
安倍の国家観は、「民主主義体制下では国家は個人の自由、権利を守る存在だ。それを指導する資格があるのは、選挙で国民の審判を受けた国会議員の中から選出される首相である」と総括できる。
安倍の国家観、改憲意欲、安保政策、歴史認識などには、祖父である岸信介の強い影響が見られる。というよりも、そっくりと言ってよい。

国家先導主義は、反転の三段論法により国家に対する協力や支援が当然視されるようになる可能性がある。即ち「国家が国民生活に関わる問題の解決に取り組む→国家の取り組みは国民のためである→国民もその取り組みに協力、支援すべきだ」。「国民のため」から「国家のため」に反転する。また、国家の機能や資産が、国家のためではなく、「国家の運営を担っている政治勢力のため」に使われる危険性がある。

















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