渡辺治 外3著「〈大国〉への執念 安倍政権と日本の危機」を読みました。本書は、安倍政権の権力構造とその担い手、およびその国家改革・社会改革の目標とそのための諸施策の全体像を解明し、同時にそれらがどのような矛盾と困難を人々にもたらすのか、彼らの描く「絵」はどのような矛盾を内包しているのかを明らかにしています。歴代の保守政権の中でも特異で危険な安倍政権の全体像を的確にあぶりだしており、安倍の暴走を阻止するためにも繰り返し熟読すべき本です。

5 グローバル競争大国化と教育改革(2)
 安倍政権の教育改革の大きな特徴は、その狙いに応じて二つの異なる担い手が実行をはかろうとしていることである。
第一の狙い、グローバル競争に勝ち抜く人材養成という課題について、首相の出席する再生実行会議を政権発足早々に立ち上げて検討を委ねた。再生実行会議は、人材作りの焦点である大学改革について、「これからの大学教育等の在り方について」を提出した。これを受けて「骨太2013」は、第2章の3に「教育再生」を掲げ、「世界トップレベルの学力の達成」を掲げたのである。また、教育全般の新自由主義化を謳った「今後の学制等の在り方について」を答申した。

第二の狙いである治安強化、道徳教育についても再生実行会議がイニシアティブをとった。同会議は、「いじめ問題等への対応について」という提言で、いじめ対策基本法制定、道徳教育強化を打ち出し、それをふまえて、文科省は省内に「道徳教育の充実に関する懇談会」を設け、それを具体化した。

それに対して第三の狙い、国民意識の改変のための教育内容の改変----戦前日本の侵略戦争、南京虐殺、「従軍慰安婦」、さらに国旗・国歌などについての教科書記述の「是正」については、再生実行会議は全くタッチしていない。この問題については、イニシアティブは自民党がとり、官邸ではタカ派グループの萩生田光一が、党とも連携して動き、それを文科相が引き取る形で具体化したのである。
安倍は総裁就任直後、自民党内に下村博文を本部長とする「教育再生実行本部」を立ち上げ、その中に「教科書検定の在り方特別部会」をつくり、そこで出された中間報告を文科省が引き取って、教科書用図書検定調査審議会に諮問し、検定基準ほかの改変が行われたのである。
つまり安倍は、グローバル競争大国づくりのうち、新自由主義的政策については再生実行会議を使いながら、大国意識涵養については自民党と子飼いの「お友達」に任せたのである。

















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