fc2ブログ
 斉藤貴男著「安倍改憲政権の正体」を読みました。総頁わずか63頁の岩波ブックレットで直ぐに読了できるが中身は濃いです。本書は安倍政権の本質をえぐり出す好著であり大いに共感しました。政権を支持する人もそうでない人も、ぜひ一読していただきたい。電子書籍にしてもっと多数の人に読んで貰えば良いのに残念です。その代わりというわけではないが、本ブログで逐次、本書の目次に沿って内容紹介したいと思います。

4 改憲への意欲
 この国の戦後史は、いつもアメリカの戦争とともにあった。占領時代の朝鮮戦争に伴う特需景気が、経済復興の契機となり、「主権回復」後の奇跡的な高度経済成長も、ベトナム戦争によってもたらされた側面が大きかった。ベトナムの直接特需を享受している東南アジアの国々や戦時好景気に沸いたアメリカ本国への民生品需要、すなわち間接特需のインパクトが半端ではなかった。機械輸出総額は、東南アジア向けが4.5倍、北米向けが21.5倍に膨らんだ。対米輸出の激増は、日本列島を在日米軍基地だけでなく丸ごと最前線基地か兵站基地とし、インフラや設備など日本中の機能を米軍に提供した見返りであった。日本は在日米軍に守られてきたというより、むしろアメリカの戦争の片棒を担ぐことによって、経済大国になり果たせたのだ。

 安倍とその周辺は、「九条は欺瞞だからさっさと捨てて、日米安保を本物の日米軍事同盟に育てよう」と考えているのだろう。アメリカがイラク戦争あたりから「ショウ・ザ・フラッグ、血を流せ」とせっついてきており、構造改革が進んで経済社会の同化も完成に近づいていることだし、積極的かつ自発的にアメリカの戦争に参戦できるようにするための憲法「改正」であれば、グローバル巨大資本も合衆国政府大いに喜び、1955年の自民党結党以来の「使命」にも合致するというわけだ。

 安倍政権の主導で憲法九条「改正」がなされた場合、私たちは常にアメリカの戦争に付き従う義務を背負わされることになる。2005年10月、日米安保協議委員会の合意計画によれば、①在日米軍横田基地に府中市の航空自衛隊航空総隊司令部を移転し、日米統合運用調整所を設置する。②在日米陸軍キャンプ座間に本国ワシントン州から陸軍第一軍団の司令部の一部と、陸上自衛隊の中央即応集団の司令部を移転する等々。いずれの基地にも、在日米軍陸海空三軍の各司令部が置かれており、陸海空三自衛隊との一体化が進んでいて、ここまで進めば、むしろ一緒に戦争をしない方が奇妙だとさえ思える。これらの合意内容はいずれも実現してしまっていて、いまや憲法九条だけが戦争の歯止めになっている。

 2010年6月、民主党政権が「新成長戦略」の中で具体的な国策として「パッケージ型インフラ海外展開」を位置づけた。原発もその中に含まれていたが、3.11以後も何の反省も伴わずそのまま継続されている。安倍はこの国策に「邦人の安全」とか「資源の海外権益確保」といった要素を追加して、首相官邸に「経協インフラ戦略会議」を立ち上げている。
 パッケージ型インフラ海外展開という国策は二通りの危険を導く。第一に、「だから原発の再稼働だ」という流れが形成されること。危ないからと原発を停止し続けていたら外国は買ってくれないし、相手国の要人を接待のために招待する口実も作れない。第二に憲法の問題に直結する。パッケージ型インフラ海外展開の推進とともに、それに関わる日本国民が海外でトラブルに巻き込まれる可能性は飛躍的に高まる。資源の権益確保を絡ませれば、アルジェリアの天然ガスプラントが武装グループに襲撃され、10人の日本人を含む40人もの関係者が殺害された事件のようなテロに遭遇することも珍しくなくなる。だからこそ安倍政権は、自衛隊が海外で緊急事態に遭遇した邦人の陸上輸送を可能にする自衛隊法改正案を国会に提出したのだ。想定される様々な事態への対応を煮詰めていくと必ず九条がネックになり、これを取り除くために憲法改正が必要になるのだ。

















管理者にだけ表示を許可する


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2024 個人出版コミュニティ, All rights reserved.