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 斉藤貴男著「安倍改憲政権の正体」を読みました。総頁わずか63頁の岩波ブックレットで直ぐに読了できるが中身は濃いです。本書は安倍政権の本質をえぐり出す好著であり大いに共感しました。政権を支持する人もそうでない人も、ぜひ一読していただきたい。電子書籍にしてもっと多数の人に読んで貰えば良いのに残念です。その代わりというわけではないが、本ブログで逐次、本書の目次に沿って内容紹介したいと思います。

3 衛星プチ帝国の臣民を育てるために-----教育は誰のものか(その1)
 安倍首相は、第一次政権で教育基本法を改正し、「国を愛する態度」の涵養を教育の目標に盛り込むと同時に、教員免許の更新制度や成果主義による評価制度などを導入し、教育の国家管理を強化する方向性を打ち出した。内閣に設置した有識者会議「教育再生会議」では教育分野での競争原理の徹底が主なテーマになっていた。今回の安倍政権では、「内閣の最重要課題の一つである教育改革を推進する」ため、「教育再生実行会議」が設置された。自民党内にも総裁直属の機関として「教育再生実行本部」が発足。これまでの動きでは、競争原理よりも国家主義的な側面が強く打ち出され、より安倍らしい教育観が反映されている。

 安倍政権が、これほど「教育改革」に前のめりなのは、前述の「日本ごっこ」つまり、アメリカの属国になればなるほど「愛国心」を強調しないことには自分たちのアイデンティティが消え失せてしまう予感があるからだ。また、安倍政権が夢見ている国家像-----「衛星プチ(ポチ?)帝国」を実現するために役立つ人材育成という目的もある。自民党の「改憲草案」では第26条に第3項を追加し、「国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない」とする条文を新設した。教育は個人一人一人のためと国家社会のためという二つの側面があるが、「改憲草案」は、後者だけをわざわざ条文化するという。これは、個人などは後回しで国家のための教育を叩き込むことを意図していることは明白である。

 自民党の「教育再生実行本部」が安倍首相に提出した「第一次提言」では、「成長戦略実現上、投資効果が最も高いのは教育」であり、「結果の平等主義から脱却し、トップを伸ばす戦略的人材育成」だとする独自の教育観が披露されている。さらに、「英語教育の抜本改革」と「理数教育の刷新」、「ICT教育」が「グローバル人材育成のための三本の矢」であり、実現を後押しするためには一兆円規模の集中投資と「グローバル人材育成推進法」の制定が必要だと強調。大学の受験資格や卒業要件、および国家公務員の採用試験に「TOEFL}を取り入れたり、文系の大学入試でも理数の力を重視するべきだといった提案をしている。まさに、総合商社の新入社員研修制度みたいだ。

 安倍政権の「教育改革」が目指しているのは、あくまでも「衛星プチ(ポチ?)帝国」である。日本がグローバル・ビジネスの世界で支配的な国家たらんとするに際し、そのリーダーとなるべき人材は、アメリカに徹頭徹尾従属しながら、しかも国内向けの「日本ごっこ」だけはギリギリまで貫き、かつアイデンティティが崩壊しない一種の「鈍感力」を湛えていなければならない。かくして、ネオリベラリズムとネオコンサーバティブが、属国の教育分野で結ばれることになる。

















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