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 斉藤貴男著「安倍改憲政権の正体」を読みました。総頁わずか63頁の岩波ブックレットで直ぐに読了できるが中身は濃いです。本書は安倍政権の本質をえぐり出す好著であり大いに共感しました。政権を支持する人もそうでない人も、ぜひ一読していただきたい。電子書籍にしてもっと多数の人に読んで貰えば良いのに残念です。その代わりというわけではないが、本ブログで逐次、本書の目次に沿って内容紹介したいと思います。

2 アベノミクス、TPP参加が意味するもの(その1)
 アベノミクスは市場原理を最上級の価値とする新自由主義に自民党式土建屋政治を混ぜこぜにしたもので、小泉政権よりネオコンの側面を強く打ち出している分だけ、旧来型の保守層を支えていたケインジアンの入り込む余地が拡がった。そのため冨の再分配や公正さ、平等の理念に対する目配りはゼロだが、経済成長だけを目指す立場においては、完全に無視されて怒り狂う論者が出ないように組み立てられている。アベノミクスは小泉・竹中路線の焼き直し、更なる徹底以外の何物でもない。

 日本は中曽根政権以来の流れの中で、殊に小泉政権あたりから一気に進められてきた大改造の総仕上げの段階に入ろうとしている。グローバル巨大資本やアメリカ政府、日本の財界など、この国の大改造を推進あるいは歓迎している人々にとって、安倍晋三は様々な意味で便利な人材だろう。数年前にたった一年で政権を投げ出す醜態をさらしながら、昨年末の総選挙であっさり首相の座に返り咲いたのも、そうした勢力の使命を帯びていればこそということではないか。だからアベノミクスも為替市場や株式市場には前向きに評価してもらえる。

 安倍は2月末の施政方針演説で、「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指します」と宣言した。これは、安倍が労働者の生活を第一に考えている政治家ではないことを端的に示している。「第三の矢」の本命は「雇用制度改革」である。非正規雇用の拡大が図られた従来の改革に対して、今後のターゲットは、正社員の首をいかに切りやすくするかである。例えば、不当解雇でも金で解決できたり、職務や勤労地、労働時間などを絞り込んだ「限定正社員」制度を新設して、いつでも事業所ごと切ってしまえる仕組み、ホワイトカラーを労働基準法の定める労働時間規制の対象から外し、裁量労働制を適用する「ホワイトカラー・エグゼンプション」(WE)等々である。アベノミクスでGDPや株価、日銀短観などの経済指標が好景気を示したとしても、富の再分配が公正に行われる仕組みがなければ、普通の生活者が豊かになることにはならず、むしろ階層間の格差が広がるのが実態である。しかし、消費増税を実現するためには増税法案の「景気条項」をクリアするために、何が何でも好景気を演出しなければならないのだろう。

 消費税は消費者が負担するだけでなく、あらゆる商品やサービスのすべての流通段階で課せられ、個々の取引で力関係の弱い側がより多くの税負担を強いられる。例えば、大手安売りスーパーの近所のお菓子屋さん、メーカーの下請け工場、大手スーパーと中小卸商の関係など、弱い事業者はどんどん潰れていく。消費税とは、弱者のわずかな富をまとめて強者に移転する税制である。消費増税法案は、財政の健全化と社会保障の充実を謳って可決成立したが、自民党はその直前に「国土強靱化」なる中長期計画を打ち出し、今後の10年間で200兆円の公共事業を実施するという。財源は当然、消費増税による税収である。消費税のために全国規模で倒産や廃業、自殺者が激増し、国民の生き血を吸いながら「国土強靱化計画」が進められるという地獄絵図がもうすぐそこまで来ている。

















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