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 ジェイン・ロジャーズ著「世界を変える日に」を読みました。バイオテロのため母体死亡症候群(MDS)と呼ばれる疫病が蔓延し、世界中の人間がこのウィルスに感染している。そのため妊娠した女性は早ければ僅か数日で死亡する。従って赤ん坊は生まれてこず、数十年後には人類は滅亡することになる。治療法を含めて対策を模索する中で、16歳以下の少女をMDSの影響を抑えるために薬で昏睡状態にし、MDS以前の凍結胚にワクチン接種して子宮に移植することで、少女は死亡するがMDSにかかっていない赤ん坊を生み出す方法が提案され、命懸けで志願する少女が現れてきます。

 主人公の少女ジェシーもその一人で、当初は無関心でしたが親友や家族の悲劇、社会を変えようとする同年代のグループの活動などを体験するうちに、自分はいまの世界の状況を変えられるはずという確信を抱くようになり、志願を決断します。父親はジェシーを拘束して実行を阻止しようとしますが、ジェシーの決意は揺るがず、策をめぐらせて拘束室から脱出します。若い世代につけをまわして現在をしのいでいる日本社会に重なります。

 子供が生まれなくなるという設定は、SFでは特に目新しいものではないし、その対応策もSF的なセンスオブワンダーを感じさせるものではなく、決断に至る少女の精神的成長に重点が置かれた純文学的な要素が多い作品です。これがなぜアーサー・C・クラーク賞を受賞するのか、よくわかりません。

















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