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  ニコラス・ハンフリー著「ソウルダスト」は、前作「赤を見る」を出発点とし、神経科学と進化論および哲学の知見を駆使して、意識の本質についての独創的な理論を提唱したものです。それは、意識は実在のものではなく、自分を対象とする自作のマジックショーであるというものです。感覚刺激に対する自分の反応をモニターする仕組みの発生を想定し、既存の感覚フィードバック・ループを微調整することで、マジックショーが成立するということです。

 意識が生まれ、進化してきたのは、その持ち主が生存上優位に立てたからで、その優位性とは、何かを行う能力を高めることではなく、その持ち主の一生を、いっそう生き甲斐のあるものにすることにあるということです。つまり、意識の存在理由は、人間は現象的意識を持つことを満喫する(第一のレベル)、自分が現象的意識を持って生きている世界を愛する(第二のレベル)、現象的意識を持っている自己を尊ぶ(第三のレベル)ということにある。私たちは感覚を外界に投影しており、これが現象的感覚のマジックを周りに振りまき、本来無意味で退屈な世界を輝かせるのである。

 意識についての大枠の理論としては説得力がありますが、脳の活動と意識の表象との対応についてはまだまだ不十分であり、神経科学のさらなる発展を待たなければならないようです。終わりの方で魂の不滅を信じることが、意識ある人間の生にとって必要不可欠であると論じていますが、いかにも西欧的な考え方で、それまでの論理的展開とくらべて違和感がありました。

















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