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 平谷美樹著「ノルンの永い夢」を読みました。SF新人作家が、第2次大戦下のドイツで消息を絶った数学者をモデルとする小説の執筆を新興出版社から依頼され、取材を進めるにつれて、自分が大戦下のドイツから未来(つまり現在)へ跳躍したその数学者であり、新興出版社の会長や同居していた養父は、当時のドイツでの学術研究の同僚が普通に年を経た人物であることが判明する。その数学者は、高次元多胞体理論という時空論を確立し、頭の中での座標変換によって時間を空間に変換して、過去や未来に自在に跳躍することによって、高次元多胞体である時空の成長形態を調整する時空の修正子なのであった。

 本書は、多世界理論、タイムトラベル、歴史改変などを組み合わせ、高次元マルチバースの進化を人類の歴史の視点から描いたものと言えます。ただ、マルチバースの進化の駆動力が何なのか、時空の修正の基準が何なのか明確に記述されていません。この辺りを深く突き詰めていけば哲学的なSFとして深みを増した作品になったと思います。

















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