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 平成11年度日本SF大賞受賞作の新井素子著「チグリスとユーフラテス」を読みました。片道35年の惑星ナインへの移民、そして不妊の進行によりわずか400年で失敗に終わる植民の歴史を、最後の子供となったルナとルナにコールドスリープから目覚めさせられた住人との絡み合いを通じて、スリリングに明かしていくお話しです。

 ルナは幼児がそのまま年老いたような70才の老婆で、自分を最後の子供として生み出した親や社会を憎悪し、コールドスリープ中の住民を次々に目覚めさせ、植民が失敗に終わった事実を突きつけて各人の人生が無意味であったと自覚させ傷つけることで、恨みを晴らそうとします。

 最後に、ナインの女神として神聖視されているレイディ・アカリをコールドスリープから目覚めさせるのですが、90才の老婆アカリは植民失敗の事実にめげることなく、植民を人類の植民から地球生命の植民にパラダイムシフトし、ルナを地球から持ち込んだ各種動植物の母=ナインの母に仕立て上げることで、地球種の存続と未来の地球または他の植民惑星との交流による大進化に希望を託します。

 人類の未来史を想像すれば、太陽系外惑星への植民は当然行われるし、失敗するケースも多いでしょう。この物語は、そのような時代のエピソードの一つとしてリアリティがあり、生きることの意味を問うという古来からのテーマを扱かったものだと思います。

















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