fc2ブログ
 ポール・シャーレ著「無人の兵団」を読んだ。本書は自律型兵器の現状と未来を展望している。ターゲットを捜し、ターゲットに向かい、攻撃を決定し、攻撃するという4段階の意思決定プロセス(OODAループ)の中枢に人間がいるものは、半自律型兵器、ループのすべてをAIが行う場合は、完全自律型兵器と呼ばれる。

イスラエルのハーピー滞空弾薬のような限定的な完全自律型はすでにいくつか存在する。イージス・システムは、監督付き自律型ウェポン・システムと呼ばれる。このシステムでは、人間が各種の設定を決めて、脅威を確定した後は、兵器が自律して防御のための攻撃を行う。ただし、人間が途中で攻撃中止を命じることができる。半自律・完全自律・監督付き自律という三つの型には、それぞれ長所と短所がある。

無人兵器システムは米映画「ターミネーター」に出てくる殺人ロボットではなく、「スカイネット」に対応する。兵器運用のプロセスは、兵器の「ライフサイクル」と「ターゲティング・サイクル」(「キルチェーン」)からなる。

「ライフサイクル」とは、兵器化開始の初段階におけるコンセプト規定から、研究開発、技術的検証や兵器の試験・評価・検証、使用、そして廃棄に至る、物理的には数十年に及ぶ時間の中での兵器の管理を指す。「ターゲティング・サイクル」とは、攻撃の起動、探索、識別、追跡、(兵器の)選択、攻撃、評価の各機能を分解したもので、攻撃作戦のプロセスを概念分解したものである。

次世代の戦争で人工知能(AI)が決定的な役割を果たすとされるのは、戦場の特性に応じて、「ターゲティング・サイクル」の各段階を人工知能が自動化することが予想されるためである。それによって戦争は極めて効率的になると期待される。

しかし、たとえ効率的な戦闘が望まれるとしても、現実的に兵器の自律化に対しては、現職の軍人を含む大きな反対がある。国防省指令では、兵器の信頼性の重要度が強調されており、信頼できない無人兵器システムを米軍が運用することを禁じている。その上で、兵器システムには効率的な「人間の介入」を担保する必要があると強調されている。

現段階のAIは、人間の予想外の答えを出すこともあれば、極めて簡単な判断を間違うこともあると指摘される。兵器にAIを導入したとして、それが信頼できない判断をする可能性があるのであれば、兵器システムに採用すること自体がリスクとなる。しかし、実証され、効果が検証された新技術を兵器に導入することは、自国の軍事力向上につながるため、各国は可能な限り開発を急ごうとする。この二つの立場の相克が、無人兵器システムの問題を複雑にしている。

兵器設計の段階で、人間の関与を担保する方法としては、問題が発生した場合に兵器システムを完全にシャットダウンできる、「キル・スィッチ」を兵器に常備させる措置などが考えられる。また、戦場の状況に合わせて人間の関与を担保できるようにする方法は、個別の状況における兵器の運用プログラムを構築することを意味する。兵器は、その使用方法や技術特性に応じて、国際人道法が完全に適用できるかどうか決まってくるため、兵器に「運用者」の意図を正確に反映させる方法が課題となる。

意図の反映には、ハードウエアをそのように設計する方法、ソフトウエアに組み込む方法、そして「人間と機械の連動性」により人間の介入を担保する方法がある。ハードウエアとソフトウエアに人間の関与を組み込む方法は理想的であるが、ルール順守の査察・検証方法が限定され、AI進化による予想不能な「知性」の発現可能性のため、人間と機械の連動性により人間の介入を担保する方法が現実的な方策として浮かび上がってくる。

適菜収著「国賊論」を読んだ。「国賊」とは、辞典によれば「国を乱し、世に害を与える者、国家に仇する者。国敵」とある。安倍晋三は、国を乱し、世に害を与えてきた。文字どうり、定義どうりの国賊である。

安保法制騒動では憲法破壊に手を染め、北方領土の主権を棚上げし、不平等条約締結に邁進。国の形を変えてしまう移民政策を嘘とデマで押し通し、森友事件における財務省の公文書改竄、南スーダンPKOにおける防衛省の日報隠蔽、裁量労働制における厚生労働省のデータ捏造など、一連の「安倍事件」で国の信頼性を完全に破壊した。

安倍は、水道事業の民営化や放送局の外資規制の撤廃をもくろみ、皇室に嫌がらせを続け、「桜を見る会」問題では徹底的に証拠隠滅を図った。

要するに悪党が総理大臣をやっていたのだ。この究極の売国奴・国賊を支えてきたのが産経新聞をはじめとする安倍礼賛メディアであり、カルトや政商、「保守」を自称する言論人だった。「桜を見る会」には、統一教会の関係者、悪徳マルチ商法の「ジャパンライフ」会長、反社会的勢力のメンバー、半グレ組織のトップらが呼ばれていたが、そこには安倍とその周辺による国家の私物化が象徴的に表れていた。

安倍は「私は立法府の長」と国会で4回も言ったバカなので今に始まった話ではないが、自分の役職や権能すら理解していない。
バカがバカを支持すれば、当然バカな国になる。これは「第二の敗戦」だ。結局、日本人は先の大戦で何も学ばなかったのだ。危機を感知する能力を失った。そして戦後の対米追従と平和ボケの中で、過去の亡霊の復活を許してしまった。

なぜ究極の無能が担ぎ上げられ、日本が三流国家に転落していったのか?本書ではその背景を明らかにしていく。

日本も広告会社によるマーケティングとプロパガンダで政治が動いている。その背景にはニヒリズムがある。議論によって相手を説得し、合意形成を目指すよりも、社会に一定の割合で存在するバカの動向をマーケティングで探り、プロパガンダにより「ふわっとした民意」をすくい上げたほうが手っ取り早いと考える連中が、政権中枢にもぐりこんだ。

これを露骨にやったのが小泉政権におけるB層(構造改革に肯定的なバカ)戦略だった。騙すバカと騙されるバカの自転車操業。こうして平成の30年間にわたる政治の劣化と制度破壊の成れの果てが安倍政権だった。

人間は理解できないことや自分の世界観に合致しない事実を提示されると、自分を守るために事実のほうを歪めていく(認知的不協和)。一貫しない二つの認知があると人間は不快になる。特に自尊心が脅威にさらされると、歪曲、否認、自己説得が行われる。
多くの日本人が政治に対してシニカルな態度を取るようになったとき、心理学から動物行動学までのあらゆる知見が悪用され、人間を傷つけ始めた。

過去の悪霊と戦うためにはどうすればいいのか?まずは「過去の悪霊と戦ってきた人々」に学ぶことである。それは哲学や思想、歴史という形で残されている。狂気の時代において正気を維持するにためは、努力が必要な時代である。


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2020 個人出版コミュニティ, All rights reserved.