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 半田滋著「先制攻撃できる自衛隊」を読んだ。本書は安保法制の施行による自衛隊の変化、2018年に閣議決定され、2019年4月から実施の「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」による自衛隊の軍隊化などを具体的な事例をもとに説明している。
軍事は絵空事ではない。もはや憲法改正を待つまでもなく、「戦争できる国」になった日本。本書によれば、憲法改正の阻止だけを訴えていたのでは、平和国家は取り戻せないことがわかる。

第一次安倍政権による教育基本法の改定に続き、2012年12月発足の第二次安倍政権下で、これまで国家安全保障会議(日本版NSC)発足、秘密法、武器輸出解禁、集団的自衛権行使、安保法制(戦争法)、共謀罪法などの国家主義的政策が強行され、防衛計画の大綱(18大綱)、中期防衛力整備計画(中期防)によって、これまで持てないと断言していた大陸間弾道ミサイル、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母のいずれもが解禁された。

2018年12月18日に閣議決定された防衛計画の大綱(18大綱)のスローガンは「多次元統合防衛力」。中身は事実上の「専守防衛の放棄」で「日米一体化の総仕上げ」。もはや憲法の縛りなどどこ吹く風である。18大綱には空母保有のほか「スタンド・オフ防衛能力」が登場している。これは相手の射程から外れた遠方から攻撃することで、今後、自衛隊は長射程ミサイルなどを保有することになり、敵基地攻撃能力を持つことになる。

18大綱、中期防により航空自衛隊の戦闘機はすべて巡航ミサイルを搭載できる「戦闘攻撃機」に切り替わる。さらに妨害電波を出して敵のレーダーをかく乱させる電子戦機の保有と合わせ、自衛隊の敵基地攻撃能力は「ない」から「ある」に方向転換することになる。

我が国の防衛の基本政策は①専守防衛、②軍事大国とならないこと、③非核3原則、④文民統制の確保の4つ。第二次安倍政権以降は怪しくなっている。18大綱、中期防に盛り込まれた攻撃型空母の保有、大陸弾道弾ミサイル、長距離戦略爆撃機と同じ機能を持つ兵器の装備化を見ればもはや①②は風前の灯火である。④はイラク日報、南スーダンPKOの日報が制服組によって隠蔽、破棄されたことからみて統制が揺らいでいる。③については、2017年6月の国連総会で核兵器禁止条約が賛成多数で可決された際、日本代表は賛成するどころか、議論自体をボイコットしたことから変化の兆しがうかがわれる。

2018年10月3日発表された「アーミテージ・レポート」の10項目のうち、軍事に関わる項目を要約すると次のようになる。
①自衛隊基地と在日米軍基地の日米共同使用
②日米統合部隊の創設
③自衛隊に合同作戦司令部を設置
④日米共同作戦計画を作り、アジア太平洋軍にスタッフを派遣
つまり、自衛隊が憲法や法律などの国内基準の縛りを受けることなく、米軍の一部として相応の軍事的役割を担い、自衛隊基地も民間施設もより自由に軍事使用できるようにせよということ。
「アーミテージ・レポート」は安倍政権のバイブルだから、今後実現に向けて突き進むことは間違いない。自衛隊基地を米軍基地化する動きはすでに始まっている。

安倍が執念を燃やす改憲「9条の2を作って自衛隊を書き込む」による変化としてつぎのことが想定される。
①集団的自衛権行使など事実上の軍隊としての活動が拡大する
②隊員数を確保するため徴兵制を採用する
③予算を増加する
④今でさえ怪しい文民統制が後退する
⑤米軍との共同行動が増加する

安倍政権の6年間で秘密法、戦争法、共謀罪法の施行を通して、日本は十分に国家主義的な国家に作り変えられている。憲法改正の必要がないほど自衛隊が軍隊化している。
「憲法改正をさせてはいけない」と叫んだところで歯止めを失い、坂道を転がるようにして軍事国家に傾斜してしまった現実。問われているのは、憲法改正を食い止めるだけではなく、日本をどのようにして元の平和国家に戻していくかを考え、地道に実行していくことである。

安倍政権が終わっても安保法制を作った自民党政権が続いていく限り、これらの政策は踏襲されていく。中国や北朝鮮からの攻撃というイメージを国民に抱かせ、不安をあおって政権基盤を維持するようなニセモノはもうたくさんだ。国民の安全と平和な生活を一番に考えるまっとうな政治家を選び、次の時代のリーダーを育てていく必要がある。


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