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 山口二郎著「民主主義は終わるのか」を読んだ。政治に関する最低限の常識とは、政治家は嘘をついてはならない、権力を利用して私的利益を図ったことが明るみに出れば責任を取って辞めるなどである。安倍政治の7年間で今までの政治に関する常識が通用しなくなった。常識の崩壊を放置すれば、自由や民主主義は失われる危険がある。

本書は、自由と民主主義の擁護という観点から、安倍政治における政治に関する常識の崩壊現象について考察し、批判の視座を構築するとともに、民主主義を終わらせないために五つの提言をしている。

日本の民主主義を脅かす要因を四つにまとめる。1三権の中の行政府、そして首相に権力が集中、2野党の危機とそれによる政党間競争の消滅、3新自由主義的経済政策がもたらした公共的世界の解体とそれによる民主主義の浸食、4個人の尊厳の否定と自由の危機という風潮。

第二次安倍政権の下で、政治と行政のバランスが崩れ、政治の絶対化が進んでいる。現代日本における政官関係に関する三つの問題。1政治的決定の過剰(法的公正の破壊)、2イデオロギーによる事実の無視(アベノミクス)、3人気取りのための政治的多動症(立法事実なしの法案成立)。

安倍政治の三つの特徴。1自分の考えに異様なほど執着する人物が権力者となり、自己を客観視することなしに好き放題をする、2他者からの批判を聞こうとせず、批判する者を逆恨みし、これを敵ととらえて徹底的に叩き潰そうとする、3敵とみなした者を攻撃する際に、嘘、虚偽、捏造などあらゆる手段を使う。

リーダーシップの劣化は、権力の私物化をもたらす。特にそれは安倍政権下の日本で顕著である。この問題は、近代的な法の支配から前近代的な家産制国家への逆行とも言える。法の支配とは、支配者が権力を行使する際には常に法の根拠に基づかなければならないという原理。家産制とは、権力者の私的財物と国家の公共物の区別が存在せず、権力者の私的な目的のために国家の財物を費消したり、権力を行使したりできる体制。

民主主義を終わらせないための五つの提言。1野党の立て直し(政策の深化、新しい政党組織の開発)、2国会の再建(国会審議の情報提供の仕組み、質問時間の配分と計算法の見直し、国民が政策論戦に参加する仕組み、二院制と選挙制度の再検討)、3官僚制の改革、4民主主義のためのメディア(放送法制、NHK制度の再検討、良質なジャーナリストの支援)、5市民の課題(正義感、正確な認識、楽観と持続性)。


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