リー・スモーリン著「宇宙は自ら進化した」を読んだ。現在、理論物理学の最大の課題は、相対論と量子論の統一理論構築である。相対論は量子現象を説明できないし、量子論は時間の取り扱いが古典的で、しかも重力現象を包含できない。統一理論候補として超ひも理論やループ量子重力理論などが研究されているが、未だ完成されていない。
著者は、統一理論が必然的に宇宙論となると考え、一つの試案として進化論的宇宙論を提案している。

物理パラメータが、この宇宙を存続させるのに必要な驚異的な精度で、最適の値にチューニングされていることの説明として、人間原理やマルチバース論などがあるが、検証できない哲学的理念にとどまっている。これを打開するための試案として、著者は、宇宙は自己組織化によって複雑な系に進化していく過程で、物理パラメータも変化してきて、現在の値になっているとする宇宙進化論を提案している。これによって、宇宙に星や銀河、人間を含む生命が生成している理由も必然として理解できるようになる。

従来の物理理論では、宇宙内の一部の系を記述するする場合は問題ないが、宇宙全体を記述しようとすると、視点が宇宙の外になければならないことになり、実行不可能になる。宇宙内にいながら宇宙全体を記述できる新概念の理論を構築する必要がある。時空や物に準拠するのではなく、出来事と出来事の関係のネットワークのみに準拠する理論が望まれる。


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