植草一秀著
「日本の独立」
を読んだ。本書は、2009年8月の政権交代で発足した民主党・鳩山内閣が、短期間で崩壊した原因、及び安倍政治の基盤である小泉竹中政治の大罪を究明し、米国、官僚、大資本、政治屋、メディアの五者(=ペンタゴン)による利権複合体が日本を支配していることを詳述している。
小泉竹中政治の大罪は、日本経済の破壊、官僚利権の温存、政治権力と大資本の癒着、対米隷属政治、権力濫用と官邸独裁であり、その闇は「平成の黒い霧」と呼ぶべきものである。具体的には、新生銀行上場認可、りそな銀行乗っ取り、郵政米営・私物化、かんぽの宿不正払い下げ未遂、日本振興銀行設立などである。
日本政治が変革を遂げ、主権者国民政権を樹立し、日本が真の意味での独立を実現するための条件は、政治家にふさわしい人材が多数現れることと、国民が賢くなることである。具体的には、「企業団体献金の全面禁止」により、金儲けではなく人々のために役立つことを動機とする政治家を増やし、国民は、あらゆることを疑い、自分の目で見て、自分の頭で考えることにより、支配者に操作されずに真実を見抜く賢い主権者になる。
また、日本の安全を確保するには、1憲法九条に基礎を置く平和外交の積極的な推進、2専守防衛体制の整備、3東アジアの集団安全保障体制確立という三本柱の構築が必要である。この基本体制確立によって、日本の自主・自立の安全保障体制が整備され、日米同盟は不要になる。