光化学協会編「人工光合成」とは何かを読みました。人工光合成とは、触媒への太陽光照射によって水を酸化して水素を生成するとともに、二酸化炭素を還元して炭水化物を生成することによって、太陽光エネルギーを物質の化学エネルギーに変換するものです。生成した水素はクリーンエネルギーとして利用でき、炭水化物は化学製品の原料となります。さらに、地球温暖化の主原因である二酸化炭素を大幅に削減できるという利点があります。人工光合成を基盤とするエネルギーシステム実現の目標は2050年とされています。

政府は、先のない原発推進への税金の無駄遣いを止めて、未来に希望をもたらす人工光合成などの再生可能エネルギーシステム推進に税金を有効活用してもらいたいものだ。

 堤未果著「政府はもう嘘をつけない」を読んだ。本書によれば、米国の真の病理は、リベラルか保守の個々の政策ではなく、すべてを飲み込む「政治とカネ」という構造そのものにある。アメリカは、国家としての力を失い、1%の超富裕層だけが潤う「株式会社国家」になってしまった。その根底に横たわる「強欲資本主義の価値観」は国境を越えて世界中に広がり、日本の政治や社会にまで手を伸ばしてきている。

9.11同時多発テロで「国家安全保障上の緊急事態」が宣言され、議会で「愛国者法」がスピード可決した。2015年パリのテロ事件で「非常事態宣言」が発令され、憲法改正まで目論まれている。これらは、政府に無期限の巨大な権力を与える危険なものである。日本でも2016年4月の熊本地震に便乗して、自民党の菅官房長官や憲法改正団体の櫻井よしこなどが、憲法に「緊急事態条項」を導入しようと策動した。これは、「自民党改憲草案」に乗っ取ったもので、自然災害は付け足しで、内容は戦時体制を目論む戒厳令以外の何物でもない。政府が立法機関と無関係に国民に命令する「法律と同じ効力を有する政令を制定できる」というのは、ナチス・ヒトラーの「全権委任法」と同じ手法だ。
日本に「ファシズムの甘い香り」が忍び寄っている。

 青木理著「日本会議の正体」を読んだ。本書は、安倍自民党政権のバックボーンである右翼団体「日本会議」の活動目的、組織、陣容、活動方法などについて、その歴史的変遷を含めて解明したものである。

日本会議の活動目的は、1皇室の尊崇、2憲法の改正、3国防の充実、4愛国教育の推進、5伝統的な家族観の重視などである。一言で言えば明治時代の国家主義体制への回帰である。現在、日本会議が安倍政権とともに総力を注ぎ込んでいる最大の目標は、戦後体制の象徴である「現行憲法」の改正である。本部事務局には新興宗教団体「成長の家」の生学連出身者が多い。現在の日本会議を主柱的に支えているのは、伊勢神宮を本宗と仰ぐ神社本庁を頂点とした神道の宗教集団である。

活動方法は、神社本庁など動員力、資金力のある組織のバックアップを受けつつ、全国各地に「キャラバン隊」と称するオルグ部隊を送り込み、「草の根の運動」で大量の署名集めや地方組織づくり、または地方議会での決議や意見書の採択を推し進めて「世論」を醸成していく。と同時に、中央でも日本会議やその他の関連団体、宗教団体などが連携して「国民会議」といった名称の組織を立ち上げ、大規模な集会などを波状的に開催して耳目を集めつつ、全国でかき集めた署名や地方議会の決議、意見書を積み上げて中央政界を突き上げていくというもの。

一方、日本会議の活動に呼応し、中央政界でその政策実現に尽力することを目標としている「日本会議国会議員懇談会」がある。衆参両院の全加盟議員281人中、自民党が246人と9割近くを占めている。また、現安倍政権の閣僚20人のうち13人、つまり全閣僚の65%が同懇談会のメンバーによって占められている。さらに、安倍の最側近と言える官邸の枢要スタッフになると、一人を除く全員が同懇談会のメンバーで固められており、特に安保や教育といった安倍政権と日本会議が重視する分野には、同懇談会のメンバーが当てられている。

これを見れば、安倍政権=日本会議政権といっても過言ではない。著者によれば、日本会議の正体とは、戦後日本の民主主義体制を死滅に追い込みかねない悪性のウィルスのようなもので、その数が増えて身体全体に広がり始めると重大な病を発症して死に至る。しかも現在は日本社会全体に亜種のウィルスや類似のウィルス、あるいは低質なウィルスが拡散し、蔓延し、ついには脳髄=政権までが悪性ウィルスに蝕まれてしまった。このままいけば、近代民主主義の原則すら死滅してしまいかねないということになる。

しかも、メディアも国民も鈍感で病変に対する自覚症状がないという致命的な状況にある。安倍政権=日本会議政権のような超復古的国家主義社会を目指す化石人間の集団に、日本の未来を委ねることはできない。まず国民一人一人が病変を自覚し、ウィルスを撲滅するための行動をスタートしなければならない。

 矢部宏冶著「日本はなぜ戦争ができる国になったのか」を読んだ。前著「日本はなぜ基地と原発を止められないのか」は、「基地権」を主体に日本がいまだに「占領状態」にあることを示したのに対し、本書は基地権と双璧を成す「統一指揮権」の法的根拠となる対米条約、交換文書、密約を通じて、日本がアメリカの戦争に米軍の指揮のもと、その一部として従軍せざるを得ない属国状態にあることを明らかにし、その打開策を提案している。

1950年6月25日朝鮮戦争勃発に伴い、それに対する協力過程(軍隊の創設と参戦という二つの憲法破壊)で生まれた米軍への完全な従属関係が、その後の2度の安保条約によって法的に固定され、現在まで受け継がれることになった。

指揮権密約の法的構造の骨格は、ダレスの「6・30メモ」(1950.6.30)⇒アメリカ軍部の「むき出しの軍事同盟」(マグルーダー原案)⇒オモテ側の条約や協定+密約、である。ダレスの「6・30メモ」は、日本が「国連のようなアメリカ」と「国連憲章・特別協定のような旧安保条約」をむすんで、「国連軍のような米軍」を支援するというもの。さらに、「吉田・アチソン交換公文」という巨大な不平等条約によって、日本は占領下で米軍(朝鮮国連軍)に対して行っていた戦争支援を、独立後も続ける法的義務を負わされてしまった。この公文とセットになって、日本に駐留する国連軍(実態は米軍)の法的権利(特権)を定めているのは、「国連軍地位協定」である。

真の独立を果たすために、二つの「独立モデル」を提案している。
 1.憲法改正によって米軍を完全撤退させた「フィリピン・モデル」
 2.東西統一とEUの拡大によって国家主権を回復した「ドイツ・モデル」
フィリピン・モデルは、「米軍撤退条項」と「加憲型」改憲である。「加憲型」改憲とは、現行憲法に「ダレスの43条のトリック」を逆回転させ、サンフランシスコ・システムの呪縛を解くための条文を追加するものである。
ドイツ・モデルは、朝鮮半島の統一(または連邦化)を促進する過程で、明らかな不平等条約(安保条約、地位協定、吉田・アチソン交換公文の交換公文、国連軍地位協定、無数の軍事上の密約など)の解消を粘り強く交渉していくというものである。

いずれのモデルにしても、アメリカとの不平等条約や違法な軍事上の密約についての知識が広まり、大多数の国民が真の独立を求める機運にならなければ、実現は困難であろう。フィリピン・モデルは、改憲手続きを考えれば、復古国家主義的「自民党改憲草案」を恥ずかしげもなく推進しようとする自民党独裁政権が存続する限り、実現しないどころか悪用される危険性がある。ドイツ・モデルも日本が朝鮮半島の統一に寄与する手段がないし、アメリカ隷従政策を根幹とする自民党政権が続く限り、自己保存本能から見てもアメリカの不興を買うような、不平等条約の解消を一歩でも申し出ることはありえない。
要は、真の独立を求めるならば、国民が選挙や反政府運動を通じて自民党政権を打倒し、独立政策を推進する政権を擁立するしかないということ。


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