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 堤未果著「政府は必ず嘘をつく」を読んだ。本書は、TPPの罠とマイナンバーの危険について、前作「貧困大国アメリカ」で見せた未果ワールド全開である。

1. 福島原発事故では、政府は「ただちに健康に害はない」と嘘をつき、御用学者や原発
推進の国際機関であるIAEAとWHOを使って被ばくを過小評価する。また、「風評被害防止」という大義名分の下、政府がネットを監視する。

2. TPPでも政府は嘘をつく。政府とマスコミは「TPP」に関する情報を国民に隠してきた。
例えば、24の分野が存在することや、企業が政府を訴えることができるISDS条項があること、公的医療保険制度も対象であることなど。

3. 市場化を導入するための国民「洗脳」ステップ。第1ステップは「敵を作る」こと。
例えば、テロリストや無能な教師、郵便局の組織と職員。第2ステップは「スローガン」だ。国民の感情を揺さぶり、誇りを持たせ、高揚させ、そして内容はよくわからないワンフレーズを隅々まで浸透させる。例えば「自由と民主主義を守る」、「改革を止めるな!」、「チェンジ」、「特区構想」、「グローバル化」など。

4. グローバル化は、人々に繁栄と自由をもたらすが、それを謳歌できるのは、1%と
呼ばれるほんの一握りの人だけである。

5. 茹でガエル。沸騰したお湯に蛙を入れると驚いて飛び出すが、鍋の中で弱火で少し
づつ温度を上げていけば蛙は逃げず、そのまま死んでしまう。国民がいつまで経っても
自分の頭で考えようとしなければ、体制側は情報操作のレベルを上げられる。

6. マイナンバー制の前に導入された住基ネットは、初期費用400億円+毎年百数十億円の維持費用がかかり、すでに2000億円もの税金を投入しているにもかかわらず、14年たった今も「住基カード」の普及率はたった5%だ。全国9か所に設置された財団法人「地方自治情報センター」に総務省から天下りした役員たちへの高額報酬を支払うのに役に立った。

住基ネットを廃止すべきとの声が上がりだした矢先に「マイナンバー」が登場。「地方自治情報センター」の看板を「地方公共団体情報システム機構」に付け替え、総務省からの天下り役員たちへの高額報酬として、2015年度には700億円の予算を計上。
初期費用3000億円+毎年の維持費約300億円、セキュリティ対策など関連費用も含めると、マイナンバー制度は約1兆円の市場規模になる。これだけの費用を上回る国民へのメリットが、本当にあるのだろうか?費用対効果に見合わないコストと、漏洩リスクがあまりにも大きすぎる。

7. 日本人が今も知らされていないTPPの実態。TPPの主目的は「関税」ではなく
「非関税障壁」の撤廃であること、交渉を仕切る企業ロビイストの存在や、他の参加国内から出ている条約内容への懸念、国連をはじめとする国際NGOなどが出した反対声明の数々。これらの国外情報は、TPPを「関税」と「農業」に矮小化するニュースによってかき消されてきた。
調印式の直前、国連人権理事会理事でジュネーブ外交大学院国際法教授のデ・サヤス氏は、全参加国政府に対して「TPP条約に署名も批准もするな」という要請を出した。理由は、国家が不当な企業活動を規制できなくなる(ISDS条項)ことを始め、その内容に民主主義をおびやかす重大な欠陥があるからだという。

TPPの最大ターゲットは日本の医療制度の規制撤廃である。最強の企業ロビイストである医産複合体(製薬企業、医療保険、医療機器メーカーなど)は、米国では軍需産業より大きな影響力を持つ。日本政府は早々とTPPに合わせて国内法を変え始めた。患者の希望で新薬を自由診療で使えるようにする「患者申し出療養制度」と、中医協が設定した薬価に企業が異議申し立てできる「行政不服審査法全面改正」が成立。今後は、今よりずっと多くの高額な新薬が保険外になり、薬価も今までのように中医協だけでは決められなくなる。

薬価が上がる理由は、TPPに含まれる知的財産権の強化で、新薬の販売期間を延長し、後発薬の発売を遅らせる。ジェネリック薬の供給は目に見えて減っていくだろう。新薬が値上がりすれば、日本の公的保険では支払いきれなくなる。そして国民は健康保険証一枚では足りなくなり、民間保険に加入せざるを得なくなる。そうなれば、今まで「国民皆保険制度」のせいで日本に参入できなかった外資の民間保険会社にも、大きなビジネスチャンスが開かれる。
世界では今、ISDS訴訟乱用が加速中で、TPP発効後は「国民皆保険制度」も、日本政府の不当な関与として十分攻撃対象になる。そして国民皆保険制度は「形だけ」残るが、その中身はじわじわと骨抜きになり、「命の沙汰も金次第」のアメリカ型になっていく。そうなれば、一度盲腸手術をしただけで700万円の請求書がくる光景も、他人事ではなくなるだろう。

「政府は必ず嘘をつく」という言葉がもはや誇張ではなくなったこの世界で、生き延びる方法はまだ残されている。カギになるのは知識より、相手側の意図を読み取る想像力と直感だろう。自らの頭で考え、判断し、意志を持つ市民は、簡単には騙せないのだ。


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