ジェレミー・リフキン著「限界費用ゼロ社会」を読んだ。IoT(モノのインターネット)による第三次産業革命が急速に進展しており、極限生産性が達成され限界費用がほぼゼロに向けて経済を加速させ、従来の垂直統合型の大企業が支配する資本主義経済を分散水平型の協働型コモンズ主体の経済に変えていくという。

IoTとは、コミュニケーション、エネルギー、輸送の各インターネットが統合されたものである。IoT上でプロシューマ―(自ら生産・消費する人)が急増し、ピア・プロダクションが指数関数的に拡大して、財とサービスの生産やマーケティング、流通のコストが下がるのと同時に、コモンズにおけるソーシャルエコノミーの進展が一層急激に加速している。

日本とドイツを比較すると、ドイツはメルケル首相の下に、第三次産業革命のパラダイムへの転換を政策として推進しているのに対して、日本は、老朽化しつつある原子力産業を断固として復活させる決意でいる堅固な業界と、日本経済を方向転換させようとする新しいデジタル産業や業界との板挟みになってもがいている。

両国の根本的な違いは、20世紀の化石燃料と原子力を脱し、限界費用がほぼゼロで採取できる分散型の再生可能エネルギ―へ迅速に移行するのが、将来ドイツが経済的に成功するカギであることを、ドイツの政府も産業もシビル・ソサエティもすでに理解するに至った点にある。

 前泊博盛著「本当は憲法より大切な日米地位協定入門」 を読んだ。これを読めば、戦後70年も経過した現在でも、敗戦時の米軍による占領状態となんら変わっていないことが実感できる。各地の米軍基地における米軍駐留の法的根拠は、屈辱的な日米安保条約、日米地位協定であり、政治的根拠は、非公表の密約及び日米合同委員会の議事録と合意書である。
これらの法的及び政治的根拠は、実質的に憲法より上位にあり、米軍基地は真の治外法権領域であり、米軍人及び軍属には、基本的に日本の国内法およびそれに基づく裁判権が適用されない。
そもそも地位協定は、アメリカが占領期と同じように、日本に巨大な権益を持つ合衆国軍隊を配備し続けるための取り決めなのである。

戦後70年も経つのに、外国の軍隊が治外法権の下に駐留し、基地のための土地借用料と軍隊に必要な諸経費を、自国民から徴収した税金で賄っている国は、世界中探しても日本だけである。日本は表面的には主権のある独立国家のふりをしているが、実態は宗主国アメリカの属国・植民地であり、首相は植民地の総督に過ぎない。歴代の自民党政権で、この屈辱的な状況から脱し、あまりにも不平等な日米安保条約、日米地位協定を真に改定しようとした政権はない。
岸信介の安保条約とそれに伴う地位協定の改定は、条文の削除改変であたかも改善されたように見せかけているが、その実、条文に記述するには不都合な内容を、密約に押し込んだだけで、旧安保条約と実質的には何も変わっていないインチキ改定である。安保改定反対闘争に値しない改定であったと言える。

地上の米軍基地及び基地間移動における治外法権だけではなく、基地周辺及びその上空の広大な領域(ラプコン)が、米軍による航空管制下にある。そのため、那覇空港への民間機の離着陸は、このラプコンを避けた狭隘な航路を軽業のように航行しなければならない。ラプコンを避けて関西方面へ羽田空港から離陸するには、一旦千葉方向へ向かい急反転、急上昇してラプコンを越えて関西方面に向かわなければならない。つまり、米軍による航空管制のために、民間機の離着陸事故が起こりやすいのである。

米軍関係者は、出入国審査などの手続きを一切行わずに、基地に到着したり基地から飛び立ったりできるから、日本政府は、自国内にどんなアメリカ人が何人いるか全く分かっていない。海兵隊のグアム移設費用8000人分は、実数3000人分を水増ししているが、日本政府はこれを黙認しして日本国民の税金から支払う計画になっている。

講和条約調印後の無期限米軍駐留の道を付けたのは、「沖縄メッセージ」で沖縄の米軍駐留を日本政府の頭越しにアメリカ政府に要請した昭和天皇と、独断専行で極端な対米従属路線とった吉田茂であり、米軍基地を治外法権領域と法的に位置づけたのは、米軍基地の違憲性問いただした「砂川事件」で、違憲とした一審判決を捻じ曲げて米国政府の意向どおりの政治的判決を下した田中耕太郎最高裁長官である。いわば戦後の三悪人である。

そして、安保条約と地位協定を盾に、米軍基地の治外法権維持を図る日米合同委員会の日本側メンバーである外務省および各省庁のエリート官僚たちがいる。その後の歴代の自民党政権は、吉田の対米従属路線を踏襲し続けており、自分たちの保身のために国民に負担を押し付けるだけで、アメリカの植民地状態から抜け出す方向の政策努力を一切やっていない。つまり、自民党政権は諸悪の根源と言える。日本という家を食い尽くし崩壊させる白アリのようなものである。

 堤未果著「政府は必ず嘘をつく」を読んだ。本書は、TPPの罠とマイナンバーの危険について、前作「貧困大国アメリカ」で見せた未果ワールド全開である。

1. 福島原発事故では、政府は「ただちに健康に害はない」と嘘をつき、御用学者や原発
推進の国際機関であるIAEAとWHOを使って被ばくを過小評価する。また、「風評被害防止」という大義名分の下、政府がネットを監視する。

2. TPPでも政府は嘘をつく。政府とマスコミは「TPP」に関する情報を国民に隠してきた。
例えば、24の分野が存在することや、企業が政府を訴えることができるISDS条項があること、公的医療保険制度も対象であることなど。

3. 市場化を導入するための国民「洗脳」ステップ。第1ステップは「敵を作る」こと。
例えば、テロリストや無能な教師、郵便局の組織と職員。第2ステップは「スローガン」だ。国民の感情を揺さぶり、誇りを持たせ、高揚させ、そして内容はよくわからないワンフレーズを隅々まで浸透させる。例えば「自由と民主主義を守る」、「改革を止めるな!」、「チェンジ」、「特区構想」、「グローバル化」など。

4. グローバル化は、人々に繁栄と自由をもたらすが、それを謳歌できるのは、1%と
呼ばれるほんの一握りの人だけである。

5. 茹でガエル。沸騰したお湯に蛙を入れると驚いて飛び出すが、鍋の中で弱火で少し
づつ温度を上げていけば蛙は逃げず、そのまま死んでしまう。国民がいつまで経っても
自分の頭で考えようとしなければ、体制側は情報操作のレベルを上げられる。

6. マイナンバー制の前に導入された住基ネットは、初期費用400億円+毎年百数十億円の維持費用がかかり、すでに2000億円もの税金を投入しているにもかかわらず、14年たった今も「住基カード」の普及率はたった5%だ。全国9か所に設置された財団法人「地方自治情報センター」に総務省から天下りした役員たちへの高額報酬を支払うのに役に立った。

住基ネットを廃止すべきとの声が上がりだした矢先に「マイナンバー」が登場。「地方自治情報センター」の看板を「地方公共団体情報システム機構」に付け替え、総務省からの天下り役員たちへの高額報酬として、2015年度には700億円の予算を計上。
初期費用3000億円+毎年の維持費約300億円、セキュリティ対策など関連費用も含めると、マイナンバー制度は約1兆円の市場規模になる。これだけの費用を上回る国民へのメリットが、本当にあるのだろうか?費用対効果に見合わないコストと、漏洩リスクがあまりにも大きすぎる。

7. 日本人が今も知らされていないTPPの実態。TPPの主目的は「関税」ではなく
「非関税障壁」の撤廃であること、交渉を仕切る企業ロビイストの存在や、他の参加国内から出ている条約内容への懸念、国連をはじめとする国際NGOなどが出した反対声明の数々。これらの国外情報は、TPPを「関税」と「農業」に矮小化するニュースによってかき消されてきた。
調印式の直前、国連人権理事会理事でジュネーブ外交大学院国際法教授のデ・サヤス氏は、全参加国政府に対して「TPP条約に署名も批准もするな」という要請を出した。理由は、国家が不当な企業活動を規制できなくなる(ISDS条項)ことを始め、その内容に民主主義をおびやかす重大な欠陥があるからだという。

TPPの最大ターゲットは日本の医療制度の規制撤廃である。最強の企業ロビイストである医産複合体(製薬企業、医療保険、医療機器メーカーなど)は、米国では軍需産業より大きな影響力を持つ。日本政府は早々とTPPに合わせて国内法を変え始めた。患者の希望で新薬を自由診療で使えるようにする「患者申し出療養制度」と、中医協が設定した薬価に企業が異議申し立てできる「行政不服審査法全面改正」が成立。今後は、今よりずっと多くの高額な新薬が保険外になり、薬価も今までのように中医協だけでは決められなくなる。

薬価が上がる理由は、TPPに含まれる知的財産権の強化で、新薬の販売期間を延長し、後発薬の発売を遅らせる。ジェネリック薬の供給は目に見えて減っていくだろう。新薬が値上がりすれば、日本の公的保険では支払いきれなくなる。そして国民は健康保険証一枚では足りなくなり、民間保険に加入せざるを得なくなる。そうなれば、今まで「国民皆保険制度」のせいで日本に参入できなかった外資の民間保険会社にも、大きなビジネスチャンスが開かれる。
世界では今、ISDS訴訟乱用が加速中で、TPP発効後は「国民皆保険制度」も、日本政府の不当な関与として十分攻撃対象になる。そして国民皆保険制度は「形だけ」残るが、その中身はじわじわと骨抜きになり、「命の沙汰も金次第」のアメリカ型になっていく。そうなれば、一度盲腸手術をしただけで700万円の請求書がくる光景も、他人事ではなくなるだろう。

「政府は必ず嘘をつく」という言葉がもはや誇張ではなくなったこの世界で、生き延びる方法はまだ残されている。カギになるのは知識より、相手側の意図を読み取る想像力と直感だろう。自らの頭で考え、判断し、意志を持つ市民は、簡単には騙せないのだ。


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