松尾豊著
「人工知能は人間を超えるか」
を読みました。本書は、第3次ブームを迎えたAI研究の現状と今後の展開について解説したものです。前半は第1次と第2次ブームでのAI研究の盛衰と、第3次ブームの発端になった機械学習、特にディープラーニングと呼ばれる特徴表現学習について解説しています。後半はディープラーニングからのさらなる技術発展と、産業・社会への影響と戦略について展望しています。
ディープラーニングは、これまでの機械学習でネックになっていた特徴量設計を、人間ではなく機械が行うのです。画像などの大量のデータから学習することによって、特徴表現をコンピュータが自ら作り出すというものです。具体的には、1段が3階層のニューラルネットワークにおいて、入力と出力を同じにする自己符号化器によって、1段目の隠れ層に入力データの特徴を表現するものが自然に生成される。次に1段目の隠れ層を2段目の入力および出力(正解データ)として、コンピュータに学習させる。これを何段にも重ねていくことで、入力データの特徴表現が高次に抽象化されたもの、いわば概念を表わすようになる。つまり、人間が学習によって世界の事物についての概念を獲得するのと同様のプロセスを実現したことになる。
AIがインターネットから膨大な情報を自動的に取り込んで日夜学習したり、人型ロボットの人工脳として組み込まれ、外界との相互作用から世界認識をするようになったら、将来は知能面で人間を超えるかもしれません。政治も独裁的な政治家よりもAIに任せた方が公平で合理的かもしれませんね。