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 海渡雄一・前田哲男著「何のための秘密保全法か」を読んだ。昨年12月6日、国民の敵「自民党・公明党」の強行採決で成立した憲法違反の「秘密法」は、今突然出てきたのではなく、2006年頃の自民党政権から継続されてきた動きの表面化であるということだ。本書は、「秘密法」に至る秘密保護法制の歴史と背景を展望するとともに、その本質と狙いを暴き、危険性を警告したものである。

3 有識者会議報告書に見る特別秘密の三分野
 2011年10月、政府に於ける情報保全に関する検討委員会は、「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」が取りまとめた報告書をそのまま受け容れ、秘密保全法制の制定の方向性を決定した。有識者会議につながる実質的な議論がなされたのは、2008年4月内閣府内に設置された「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」の作業グループであった。この作業グループの構成は、内閣府、警察庁、公安調査庁、外務省、防衛省となっており、秘密保全法制はこれら官庁の官僚が主導して進めたのだ。このチームの報告書を微修正したものが有識者会議報告書である。
公文書管理法の規定にもかかわらず、有識者会議の議事録は作成されておらず、日弁連からの議事録作成・公開要求も無視された。これは秘密裡に法制化を進めることを意図しており、政策決定過程を公開するという国民主権原理に反する。

 有識者会議報告書は、「国の安全」「外交」「公共の安全及び秩序の維持」の三分野についての情報を「特別秘密」と指定し、その漏洩行為(過失を含む)、特定取得行為、未遂、共謀、独立教唆、煽動などを懲役10年または5年以下の懲役に処することを提案している。「国の安全」は、軍事的情報だけでなく政治的情報も含み、「国の防衛」より範囲が広い。
武器輸出に関しては2011年11月、政府による三原則の見直し方針が表明された。また、2012年2月、政府は「宇宙航空研究開発機構」(JAXA)の設置法から「平和目的に限る」との規定を削除し、防衛利用を可能とすることを閣議決定した。この法案は、「安全保障に資する」ことを法の目的に付け加えた「原子力基本法の改正」と同日に成立した。 <これは将来の核兵器開発を担保しているのでは?>

 外交秘密では、沖縄秘密(米国支払い義務の400万ドルを日本政府が肩代わり)や核密約(有事の際核持ち込みを日本が認める秘密協定)のように、政府が密約を長期間、国民の目から覆い隠すことを可能とし、民主主義政治の在り方が問われる。

 「公共の安全及び秩序の維持」は、公安警察活動が想定されているが、極めて大きな範囲の情報が含まれうる。有識者会議報告書にはどのような情報が含まれるのか、殆ど説明らしいものはない。結局のところ政府や捜査機関にとって都合の悪い情報が「特別秘密」とされるのではないか。

 秘密保全法制の目的は、重罰化を図ることにより、公務員の内部告発的な情報の外部通報や、報道機関・市民団体による秘密情報へのアクセスを禁圧しようとするところにあることが明白である。


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