ジェリー・ストーカー著「政治をあきらめない理由」を読みました。本書は、世界各国に共通する民主政治への幻滅という現象を分析し、政治への不満や失望が拡がるのは、民主主義の理念が問題だからではなく、民主主義の実践が困難に陥っているからであることを明らかにしています。

実践が困難に陥っている主要で直接的な原因は、政治の主要な制度的主体である政党、メディア、職能団体やコミュニティの利益を代表する市民社会の主体がすべて信頼を喚起できない点にある。つまり、あらゆる形態の政治が、専門家である特化した政治主体によって担われており、奉仕対象であるはずの市民との間に強い靱帯を持たないことで、アマチュアである市民の参加によって政治システムに違いを作り出せると信じる理由がなくなっていること。もう一つの理由は、民主政治が機能する環境が一層厳しくなっている点である。グローバル化の力や生活の多くの局面における急速な商品化によって、民主政治を集団や国民国家の視座からとらえることが、絶え間ない圧力にさらされているからと指摘している。

民主政治を再活性化させるために、代表制の改革や市民参加の新しい仕組みについて述べているが、あくまでも改革の理念や方向性を提示しているだけで、その実践形態については各国の状況に照らして調整する必要があると付言している。確かに改革案や改革事例を読んでも、日本の民主政治に拡がる不信や幻滅を取り払う具体的な方策を構築することは容易ではないが、社会の存続に政治が必要であるからには、一人一人があきらめることなくできることから、少しずつでも民主政治をよりよく機能させるように努めるべきでしょう。


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