fc2ブログ
  野尻抱介著「太陽の簒奪者」を読みました。テーマはファーストコンタクトです。
水星から噴き上げられた鉱物資源によって、太陽を取り巻く巨大リングが形成され、日照量の激減によって人類は破滅の危機に瀕した。リングは、深宇宙から接近しつつある光帆推進の異星船団を、太陽系で停止させるレーザー光照射装置であった。異星船は地球からのすべての通信を無視しており、コンタクトはいかなる方法でも実現できなかった。

 やむなく、宇宙艦によるリング破壊ミッションが遂行され部分破壊に成功した。これで異星船団は太陽系で停止できなくなり通り過ぎると思われたが、異星船団は自らの資源を核爆発推進燃料に転換するという非常手段で、規模を縮減しながらも遅滞なく太陽系に接近し、遂に水星の周回軌道に到達した。この間、異星船は相変わらず地球からのすべての通信を無視していたため、宇宙艦で異星船に接近し、隊員が異星船内に侵入して異星人と思われる有機体とコンタクトを試みた。

 核爆弾を積んだ無人の宇宙艦と核ミサイルの同時攻撃でやっと異星船に部分損傷を与えることができ、このとき初めて、侵入隊員と異星人のコンタクトが成立した。異星人は各個体が意識を共有する一つの意識体として生存するよう進化してきており他者という概念をもたない。船の部分損傷によっていくつかの有機体が死滅し、共有意識が分断されたときに初めて他者を意識することができて、コンタクトが成立するのである。損傷が自動修復された異星船は、人類という先住者のいる太陽系を離れて、別の恒星系へと飛び立っていった。

 この異星人は、蟻や蜂のような社会性昆虫における巣と同じようなもので、個体ではなく全体が意味のある存在ということになります。集団知性というのはSFでよく出てくるのですが、その中で個体の多様性がどの程度認められるのか、詳しく言及したものはないようです。個人的には、集団知性は全体主義を思い起こさせるので、あまり好きではありません。


| HOME |


Design by mi104c.
Copyright © 2011 個人出版コミュニティ, All rights reserved.