野尻抱介著「太陽の簒奪者」を読みました。テーマはファーストコンタクトです。
水星から噴き上げられた鉱物資源によって、太陽を取り巻く巨大リングが形成され、日照量の激減によって人類は破滅の危機に瀕した。リングは、深宇宙から接近しつつある光帆推進の異星船団を、太陽系で停止させるレーザー光照射装置であった。異星船は地球からのすべての通信を無視しており、コンタクトはいかなる方法でも実現できなかった。

 やむなく、宇宙艦によるリング破壊ミッションが遂行され部分破壊に成功した。これで異星船団は太陽系で停止できなくなり通り過ぎると思われたが、異星船団は自らの資源を核爆発推進燃料に転換するという非常手段で、規模を縮減しながらも遅滞なく太陽系に接近し、遂に水星の周回軌道に到達した。この間、異星船は相変わらず地球からのすべての通信を無視していたため、宇宙艦で異星船に接近し、隊員が異星船内に侵入して異星人と思われる有機体とコンタクトを試みた。

 核爆弾を積んだ無人の宇宙艦と核ミサイルの同時攻撃でやっと異星船に部分損傷を与えることができ、このとき初めて、侵入隊員と異星人のコンタクトが成立した。異星人は各個体が意識を共有する一つの意識体として生存するよう進化してきており他者という概念をもたない。船の部分損傷によっていくつかの有機体が死滅し、共有意識が分断されたときに初めて他者を意識することができて、コンタクトが成立するのである。損傷が自動修復された異星船は、人類という先住者のいる太陽系を離れて、別の恒星系へと飛び立っていった。

 この異星人は、蟻や蜂のような社会性昆虫における巣と同じようなもので、個体ではなく全体が意味のある存在ということになります。集団知性というのはSFでよく出てくるのですが、その中で個体の多様性がどの程度認められるのか、詳しく言及したものはないようです。個人的には、集団知性は全体主義を思い起こさせるので、あまり好きではありません。

 平谷美樹著「ノルンの永い夢」を読みました。SF新人作家が、第2次大戦下のドイツで消息を絶った数学者をモデルとする小説の執筆を新興出版社から依頼され、取材を進めるにつれて、自分が大戦下のドイツから未来(つまり現在)へ跳躍したその数学者であり、新興出版社の会長や同居していた養父は、当時のドイツでの学術研究の同僚が普通に年を経た人物であることが判明する。その数学者は、高次元多胞体理論という時空論を確立し、頭の中での座標変換によって時間を空間に変換して、過去や未来に自在に跳躍することによって、高次元多胞体である時空の成長形態を調整する時空の修正子なのであった。

 本書は、多世界理論、タイムトラベル、歴史改変などを組み合わせ、高次元マルチバースの進化を人類の歴史の視点から描いたものと言えます。ただ、マルチバースの進化の駆動力が何なのか、時空の修正の基準が何なのか明確に記述されていません。この辺りを深く突き詰めていけば哲学的なSFとして深みを増した作品になったと思います。

1.インテル×凸版印刷×ビットウェイの電子書籍ストア、「BookLive!」がオープン
 インテル、凸版印刷、ビットウェイの3社が設立した新会社「ブックライブ」(BookLive)は17日、クラウド型電子書籍ストア、「BookLive!」をオープンした。

 「BookLive!」は、共通IDにより管理された「My本棚」を介することで、購入した電子書籍を、購入した端末だけでなく、ユーザーの所有する他のスマートフォンやタブレット端末、パソコンなど、利用シーンに合わせ読むことができるサービス(最大3端末)。「My本棚」は、ブックライブが独自に開発した、各主要電子書籍フォーマットに対応するマルチビューア・アプリから利用でき、サイトオープン時には、AndroidおよびWindows XP/7搭載端末に対応する。マルチビューア・アプリは、「BookLive!」サイトおよび「Androidマーケット」からダウンロード可能。

 オールジャンルの電子書籍を取り扱い、コミック・小説・実用書を中心に、講談社の4997冊をはじめ、小学館・文藝春秋・新潮社・日経BP・光文社・徳間書店・扶桑社・双葉社など、国内主要出版社のコンテンツをラインアップする。無料会員制で電子書籍ごとの都度決済となる。

2.Google、出版社向けのコンテンツ販売決済システム「One Pass」を開始
 米Googleは16日、新聞や雑誌などのデジタルコンテンツを販売する出版社向けに、オンライン決済サービス、「One Pass」を提供すると発表した。

 「One Pass」は、Googleアカウントと連動した決済サービス「Google Checkout」によるデジタルコンテンツ販売の仕組みを出版社に提供するもの。出版社は自社サイトやアプリなどにOne Passを組み込むことで、PCやスマートフォン、タブレットなど複数の端末に対応したコンテンツ販売が行えるようになる。

 コンテンツの価格は出版社側で設定でき、個別の記事や複数の記事に対して定期購読モデルや閲覧期間を限定したモデルなど任意の長さの購読期間を設定できる。システムの利用料について公式サイトなどでは明らかにしていないが、複数の海外メディアでは売り上げの10%がGoogleに支払う手数料となり、90%が出版社の取り分となると報じている。


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