電子出版の動向記事を3件紹介します。
1.Google、この夏に
「Googleエディション」開始~電子書籍販売に参入
グーグルは8日、デジタルパブリッシングフェア2010の開催に合わせて、GoogleブックスとGoogleエディションに関する説明会を開催。電子書籍の販売サービス「Googleエディション」を米国で今夏に開始すると発表。日本では、年明けのサービス開始を目処に開発を進めている。
「Googleエディション」は、Googleブックスに登録した書籍をそのまま電子書籍として販売できるサービス。具体的には、Google検索で表示された検索結果からGoogleブックスの該当するページにアクセスして、書店で立ち読みするように内容の一部を確認して、気にいったら購入するといった利用が可能になる。
オフラインリーディングについては、HTML5対応により、HTML5で拡大されたキャッシュを使い、ウェブブラウザーのオフライン機能をなるべく利用して実現する方向で開発を進めているという。デバイスに依存しないHTML5の機能を使うことで、iPadなどでも同じ機能を利用できるようにする。
EPUBについてはすでに発表済みの通り、公式に対応し、出版社がEPUBフォーマットの書籍データを用意する場合は、ダウンロード販売も行う。ただし、日本市場については、「日本語の縦書きやルビなどの日本語対応部分のEPUB拡張仕様を現在詰めている段階。日本語の拡張仕様については可能な限りサポートしていくつもりだが、おそらく現段階でEPUBに対応する出版社は少ないだろう」という。
また、DRM(デジタル著作権管理技術)については、Adobeの「ACS4(Adobe Content Server 4)」を採用する。ただし、それぞれの電子書籍にDRM保護をかけるかどうかは出版社の判断になるため、出版社が保護せずに販売することも可能。DRM技術のAbobe ACS4は、ソニー、凸版印刷、KDDI、朝日新聞社の4社が7月1日に設立した電子書籍配信事業準備株式会社でも採用を表明している。
Googleエディションにおける電子書籍の売上げの配分については、「少なくとも希望小売価格の50%以上は出版社の取り分にする」という。また、書籍のページに表示される広告も同様に、売上げの50%以上は出版社の取り分にするという。扱う出版物の範囲としては、現在のところISBNコードをもつ書籍だけを対象とする見込み。
2.大日本印刷グループ、
国内最大級の電子書店を今秋開設
大日本印刷(DNP)と子会社であるCHIグループ社は8日、約10万点のコンテンツを揃えた国内最大級の電子書店を今秋開設すると発表。パソコンやスマートフォンをはじめ、読書専用端末、多機能端末など、あらゆる表示端末に向けて電子出版コンテンツを販売する予定。
電子出版コンテンツは、DNPの新電子書店での販売に加え、グループ会社モバイルブック・ジェーピーを通して、他の電子書店にも流通させる。さらに出版社に対しては、紙の書籍の制作から、POD(プリントオンデマンド)による製造、電子出版コンテンツの制作・配信までをワンストップで提供する「ハイブリッド制作ソリューション」体制を強化し提供する。
3.電子書籍端末国内市場は2010年、237億円に急拡大
シード・プランニングは7日、
電子書籍端末の市場動向をまとめた調査結果を公表。それによれば、国内の2009年度の電子書籍端末の市場規模は推計9000万円にとどまり、「まだ市場は本格的には立ち上がっていない」としている。 その一方、ソニーが米国で販売している電子書籍端末を2010年内に国内で投入すると発表するほか、その他のメーカーやベンダーの市場参入も含めて、2010年度には販売台数が110万台、金額は237億円に急拡大すると予測している。
また、2015年度には鮮明なカラー電子ペーパーの実用化が進み、これを搭載する電子書籍端末への、既存ユーザーの買い替えに加えて、新規ユーザーの増加もあり、販売台数は230万台、金額は495億円に達するとみている。 なお、調査対象となっている電子書籍端末は、日本語の電子書籍を閲覧することを主目的とした端末を指しており、iPadやKindleは含まれていない。