ネット記事によると、書店のマージン改善と返品減少を目指した出版社8社の「35ブックス」の受注状況が、1点平均300部弱(26アイテム)と受注数が伸び悩んでいるそうです。原因は、中小出版社と書店の双方がウィンウィンとなる取組みの難しさ、つまり、中小出版社は復刻・重版という商品を提案してはいるものの、書店は商品としての力に不安を抱いたため。
書店はベストセラーやロングセラー商品の高マージン化を望んでいるが、中小出版社にとっては市場が縮小しているこの時期に、収益の柱となっている本で実施することはできないのが正直なところのようだ。新刊に至っても同様で、商品の売り伸ばしには「委託(返品可)」が最も効果的であることを出版社は理解しており、買切りによる書店側の「売り切り」の姿勢を恐れてもいる。
しかし、新たなビジネスモデルを構築するには、出版社も書店もある程度のリスクをとって臨まなければ結局は今のまま変わることはできないだろう。1つの考えとして、高マージン・歩安入帳の条件を新刊商品に柔軟に適用しながら、成功事例を模索していくのもいいだろう。今回、書店の反応は厳しいが、トライ&エラーを重ねていくことこそが、新たなビジネスを育む土壌となる。その意味では、今回の取組みは、「成功」への第一歩でもあるように思われる。
「35ブックス」の出版社8社は次のとおり。河出書房新社▽青弓社▽筑摩書房▽中央公論新社▽二玄社▽早川書房▽平凡社▽ポット出版