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 ミチオ・カク著「パラレルワールド」は、最新の観測結果と理論物理学にもとづく宇宙論の革命的な進歩に焦点を当てています。Ⅰ部は宇宙論初期の進歩、Ⅱ部はマルチバースを想定した理論、Ⅲ部は宇宙の終焉と別宇宙への脱出について述べています。別宇宙への脱出方法をステップを踏んで詳しく記述しているⅢ部は圧巻きです。

 観測と理論から、宇宙は果てしなく加速しながら膨張し、時間の経過とともにどんどん冷えており、この状態が続けば「ビッグフリーズ」に至り、どんな知的生命も死に絶えると考えられている。一方、われわれの宇宙はマルチバース(多宇宙)の一つに過ぎないとも考えられている。従って、この宇宙が終焉を迎えるときには、別宇宙へ脱出するという希望が残されていることになる。

ステップ1 万物理論を打ち立て検証する
 ワームホールの安定性、入り口付近の放射の発散可能性、大量の負のエネルギーの有無などの問題を解決するため、万物理論あるいは量子重力理論の実証が必要不可欠。

ステップ2 自然に存在するワームホールやホワイトホールを見つける
ステップ3 ブラックホールに探査機を送り込む
ステップ4 ゆっくりとブラックホールを作る

ステップ5 ベビーユニバースを作る
 数十グラムの物質を偽りの真空に押し込み、10のマイナス26乗センチメートルのサイズに圧縮するか、小さな空間領域の温度をプランク温度(10の29乗K)まで上げてから急冷することで作れる。ベビーユニバースはこの宇宙から芽吹いて分かれ、ワームホールで繋がった新しい宇宙が生じる。

ステップ6 巨大な粒子加速器を建造する
 恒星系規模の粒子加速器で得るプランクエネルギーによって時空に穴を空ける。

ステップ7 爆縮機構を生み出す
球状に配置したレーザーから一斉に強力なビームを放射することで小さな空間を加熱し、偽りの真空を生じさせる、あるいは、爆縮を起こして一組の球面をプランク長さ(10のマイナス33乗センチメートル)まで圧縮し、カシミール効果による負のエネルギーを生み出す。

ステップ8 ワープドライブマシンを作る
 アルクビエレのワープドライブマシンは、正のエネルギーで前方の空間を縮めながら負のエネルギーで後方の空間を伸ばす。空間の伸縮速度は光速を超えることができる。このドライブを搭載した宇宙船が2隻あればタイムトラベルも可能。

ステップ9 スクイズド状態による負のエネルギーを利用する。
ステップ10 量子論的な遷移を待つ

ステップ11 最後の望み
 ブラックホールが危険で使えず、安定なワームホールのサイズが顕微鏡レベルから素粒子レベルの場合、ワームホールの向こうで文明を再現できるだけの情報を、ワームホールに送り込む。伝送媒体としては細胞サイズのもの、原子でできたナノチューブ、レーザー光などが考えられる。ワームホールの向こうで、情報に基づき先ずナノロボットが作られ、新天地となる惑星を見つけたナノロボットは、大規模なクローン製造工場を造り、必要な配列のDNAを作製して細胞に注入すると、有機体が再生し全人類をよみがえらせるプロセスを開始する。


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