表紙カバーの1パーツとして、バーコードを埋め込んだ螺旋体が上方に無限に伸びていくイメージのグラフィックを手書きし、スキャナーで読み取り保存しました。題名、著者名、バーコードなどは前回と同様の方法で作成し、上記グラフィックと組み合わせて配置しました。

 今回はA42枚をつなぎ合わせてA3サイズにするのですが、つなぎ目が背中央にくるとまずいので、背表紙はカバーの裏表いずれかに寄せてつける必要があります。このとき背表紙を取り付けた方は、折り込み幅が背幅だけ少なくなります。最初はカバー表側の折り込み幅を多くするため、背表紙はカバー裏側につけたのですが、失敗でした。

 なぜなら、バーコードと背文字が混在することになったので、前回悩みの種であったDTPソフトScribusの機能の制約、バーコード表示精度とPDF文字画像背景の白地問題などが再燃してしまいました。JPEGやPNGの文字画像背景の透明化を試みましたが文字色が黒に変わってしまってうまくいきません。透明化しないと文字画像背景が白地になり、他の背景画像の上に配置すると見映えが良くありません。Scribusの画面上は望み通りになっている画像をそのまま直接印刷できれば良いのですが、なぜか出力機器にPost Script印刷機が指定されていて、PC用のレーザプリンタでは印刷できないのです。

 そこでやむなく背表紙はカバー表側につけ、裏側はバーコードとISBN及び分類・価格コードの文字列だけにしました。このようにすれば、(バーコード表示精度維持のため)PDF保存したときに、文字列背景が白地になるのは分類・価格コードだけなので違和感はなく、バーコードは元々白地マットの上に載せているくらいなので問題ありません。カバー表側はJPEG画像として保存すれば十分なので、画面上で見たとおりのもの(PDF文字列画像の背景はなぜか画面上は透明)が保存できます。

 カバー表裏画像の背景は、フリーソフトを使ってシンプルなブルーのグラデーションにしました。保存したカバー表裏のデータファイルを開いて印刷してみると、当然のことながらプリンタマージンのために端部は印刷されず、余白部分が表裏2枚のA4紙をつなぎ合わせる際の障害になります。つまり、余白部をカットした場合、つなぎ合わせ時にずれや隙間が出やすいし、全体の横幅が減少して折り込み幅が少なくなります。

 そこで、あちこち調べてプリンタマージンを調整する方法を探し出し、少なくとも2枚をつなぎ合わせる側の余白はゼロになるようにしました。エプソンのレーザプリンタの場合は、プリンタ設定で環境設定の拡張設定をクリックし、表裏の上左オフセットを-9mm~+9mmの範囲で調整することで、印刷開始位置を調整できるようです。さらに印刷用紙サイズをユーザ定義で変更できる(許容限界あり)ので、A4より若干横幅を増やしたA4ノビを定義し、保存しました。これと上記のプリンタマージン調整を組み合わせて、試行錯誤でなんとか目的にかなうような印刷ができました。

 書籍用紙が入荷したら本体を印刷し厚さを測って表紙カバー背幅を確定し、微調整の上印刷、表裏2枚をつなぎ合わせ、カラー複写する予定です。

 書籍JANコード作成が完了し表紙カバーデザインに取り組んでいます。今回は表紙カバーを前回のような写真画像ではなく自作のグラフィックにし、製本方法も含めて前回よりも安く仕上げる方法を試すことにしています。新方式の表紙カバー作成用の台紙もScribusで作成しました。

 表紙カバーはA4用紙2枚を使い、1枚を表紙、もう1枚を裏+背表紙として別々に印刷し、この2枚をつなぎ合わせたものをカラー複写機で複写して1枚のA3サイズの表紙カバーとする方法です。この方法なら手持ちのA4カラーレーザプリンタが使えるので、前回のようにA3カラーレーザプリンタがある店に外注しなくて済みます。カラー複写は近くのコンビニでできて複写費は1枚80円で済みます。問題はバーコードが鮮明に複写できるかどうかですが、だめならバーコードを別に印刷して貼り付ければ良いと思っています。もう一つの問題は、A4用紙2枚を繋いで複写したとき、つなぎ目が縦線のようになって写らないかということですが、やってみないとわかりません。また、表紙は見返しと表紙カバーの間に入れる補強材と考えて無地のままとし、用紙も安価なものにするつもりです。

 TeX文のコンパイル出力のサンプルを示します。

「個人出版社への道」タイトル
図1 タイトル

「個人出版社への道」目次
図2 目次

「個人出版社への道」本文
図3 本文

「個人出版社への道」奥付
図4 奥付

奥付のTeX文は次のようになります。
\thispagestyle{empty}
【著者略歴】\\
\\
 戸川 博\\
 1942年生まれ、兵庫県神戸市出身\\
 1946年 関西大学工学部卒\\
 2002年 某重電機メーカーを定年退職\\
 著書(十合ヒロシのペンネームで)\\
   『超神記』『未来の影』(未来舎)\\
\vspace*{10zw}\\
\begin{picture}(110,1)
\setlength{\unitlength}{1truemm}
\put(5,2){\Large\textbf{個人出版社への道}}
\thicklines
\put(0,1){\line(2,0){110}}
\thinlines
\put(0,0){\line(2,0){110}}
\end{picture}

\small{2007年6月30日初版発行}\\
 \normalsize{著 者・・・・・戸川 博}\\
 \normalsize{発行人・・・・・十河宏}\\
 \normalsize{発行所・・・・・未来舎}\\
             \small{〒737-1207}\\
               \small{広島県呉市音戸町波多見10丁目13番5号}\\
               \small{電話 0823-51-4539}\\
 \normalsize{表 紙・・・・・Photo credit:KaZuhiro-\\
               FuRuhata/OpenSpace}\\
\begin{picture}(100,1)
\setlength{\unitlength}{1truemm}
\thinlines
\put(0,1){\line(2,0){110}}
\thicklines
\put(0,0){\line(2,0){110}}
\put(0,-5){\small{\copyright Hiroshi Togawa 2007 Printed in Japan}}
\put(0,-10){\small{ISBN978-4-9903486-2- }}
\end{picture}

 ここでvspace*{10zw}\\は垂直方向に10文字分位置を下げるコマンドです。水平方向はhspace*{1zw}何々とすると、「水平方向は」の後に1文字空いて何々と出力されますが、vspaceの場合は、vspace*{1zw}何々とすると、なぜか「何々」の表示後に1文字空いて次が出力されます。最初知らずにvspace*{10zw}個人出版社への道とすると、「個人出版社への道」はそのままの位置でその後に10文字分下がった位置で次の横線が表示されていました。そこで、上記のようにコマンドの後ろに\\をつけて位置下げと文字表示を分離しました。

 上下の二重線の近傍だけを2つのピクチャー環境とし、その間は普通のテキスト環境としました。そして2つの二重線直上及び直下の文字はピクチャー環境内での文字入力コマンドput(座標){文字}で入力しました。横線を引くコマンドはput(座標){line(傾き){水平方向幅}}で、2回続けると二重線になります。面白いことにputコマンドによる線や文字の表示位置は、最初にbegin{picture}(横幅,高さ)で設定する描画領域からはみ出しても良いことになっているので、線や文字の位置を自由に設定できます。


 今回のmain.texは次のようになります。
\documentclass[a5j,papersize]{myjsbook}     % jsbook.cls のコピー
\usepackage[dvipdfm]{graphicx}      % png,jpg画像出力ソフト使用パッケージ
\setlength{\oddsidemargin}{-0.5cm}      % 奇数ページ左マージン:2.54-0.5=2.04cm
\setlength{\evensidemargin}{-1.0cm}      % 偶数ページ左マージン:2.54-1.0=1.54cm
\setlength{\topmargin}{45pt}      % 上マージン:45pt
\iftombow
\addtolength{\topmargin}{-1in}    % トンボありの場合
\else
\addtolength{\topmargin}{-1truein} % トンボなしの場合
\fi
\begin{document}
\title{\textbf{個人出版社への道}}   % 太字タイトル
\author{\textbf{戸 川  博}(著)}   % 太字著者名
\date{\textbf{未 来 舎}}       % 日付の代わりに太字発行所
\maketitle               % タイトル作成
\thispagestyle{empty}         % ページ番号を出力しない
\frontmatter         % ページ番号はローマ字、章番号は付けない
\include{chap0a}
\setcounter{page}{1}
\include{chap00}         % はじめに
\tableofcontents         % 目次を出力
\setcounter{page}{3}
\include{chap0b}
\mainmatter         % ページ番号は算用数字。章番号を付ける
\cleardoublepage
\setcounter{page}{1}
\include{chap01}         % 第1章 なぜ個人出版社を目指すのか?
\include{chap02}         % 第2章 個人出版社の立ち上げ
\include{chap03}         % 第3章 格安出版システムを構築する
\appendix            % 以下は付録
\include{chap04}         % 付録A Scribusの使用例
\include{chap05}        % 付録B 関連サイト
\backmatter           % 章番号を付けない
\include{chap06}         % 後書き
\include{chap07}         % 奥付
\end{document}

 前回までと違うのは(1)ドキュメントクラスに日本語横書きのjsbookを使っていること、(2)画像出力ソフト使用パッケージを指定していること、(3)タイトル作成に標準様式を使い日付の指定を発行元で代替したこと、(4)奇・偶ページの左右余白を調整するためのダミーページを入れたこと、(5)ページ番号調整コマンドsetcounter{page}{ }を使ったこと、(6)付録と前書き、後書きを入れたこと、(7)奥付を2段横書きにし、下段をpicture環境にして上下二重線で挟んだことなどです。

 今回は横書き標準のopenrightのままとしたためか最初とタイトル、前書き、目次および各章の後に余分な2ページが表示されるので、上記(4)(5)で調整せざるを得ませんでした。良かったのは前回の日本語縦書きではうまく機能しなかったdocumentoclassのオプションpapersizeが機能し、PDF出力画面の用紙サイズが指定のA5になっていたことです。タイトル作成ではdateに発行元を入れても問題なく表示されるのにはちょっと驚きました。タイトル、著者名、発行元の配置は前回と同様に、クラスファイルのmaketitleのTeX文を修正しました。

 付録はファイルの書き出しをchapter{何々}としておくと、目次や付録タイトルに「付録A何々」と表示されるし、付録中の図にも「図A.25 ○○」と表示されます。2つ目の付録に関連サイト一覧をつけたのですが、コンパイルするとURLの表記の所でエラーが頻発しました。予約後や特殊記号ではないのにエラーになる原因は不明ですが、面倒なので表記のままを指定するコマンドを使ってverb|URL|とするとエラーはなくなりました。また、長いTeX文をそのままの形で出力したい場合、TeX文全体をbegin{verbatim}とend{verbatim}で挟みました。

 本文中へ複数の画像を続けて挿入する場合、画像の説明文の近くに画像を配置するには工夫が必要です。画像配置にはfigure環境を使います。TeX原稿の一部をサンプルとして示します。

 documentclass{ },usepackage[dvipdfm]{graphicx},begin{document}などのコマンドはmain.texで前置されています。図番はref{ }で取得し、ref{ }とlabel{ }で{ }内の文字を同じにします。caption{ }は図タイトルを表示します。対応する文と図をできるだけ近くに配置するために、1ページに配置する図のサイズと数量を、改ページ命令のclearpageや文の挿入位置で調節しています。それでも旨く配置されないときはbegin{figure}~end{figure}のfigure環境を2つに分けて図の配置を調節しています。

 適不適は事前にはわからないので、実際にはコンパイル-出力画面を見てから少しずつ調節することになります。最初はあまり考えずにやっていたので、挿入したはずの画像がどこかにいって見あたらなくなったり、対応する文と図がかけ離れた位置に飛んだりしました。

(2)作業過程\\
図ref{fig:hontai-mikaesikotei}に示すように書籍本体を2枚の見返しで挟み、4辺をきちんと揃えて書籍の背側をクリップで、腹側を紙バンドで固定します。作業中天地、表裏、背腹が分かるように見返しの隅に印をつけておきます。次に、図ref{fig:hontai-seihonkikotei}に示すように背側が約3mm飛び出た状態にして、製本機で固定した後クリップを取り外し、しおりを挿入します。
画像配置1
書籍本体と見返しの固定
図3.17 書籍本体と見返しの固定
製本機による固定
図3.18 製本機による固定
図ref{fig:hontai-mizokakou}に示すように、製本機を立てて書籍本体の背の部分を糸鋸で切り込み、深さ1mm程度の溝を背の全長に5mmピッチで作成します。次に図ref{fig:hontai-segatame}に示すように、しおり端部と一緒に背の全長にグルーガンで溶融樹脂を塗りつけます。図ref{fig:hontaise-jyusi}に樹脂塗布状況を示します。図ref{fig:hontai-cookingsheet}に示すように、樹脂を塗布した背全長にクッキングシートをかぶせます。\\
画像配置2
書籍本体の背全長への溝加工
図3.19 書籍本体の背全長への溝加工
背全長へ溶融樹脂を塗布
図3.20 背全長へ溶融樹脂を塗布
背全長の樹脂塗布状況
図3.21 背全長の樹脂塗布状況
クッキングシートの設置
図3.22 クッキングシートの設置

 画像配置や改行位置、行頭インデントなどを修正して、やっと本体部分の原稿の電子化が終わり、表紙カバーのデザインとバーコード作成を残すだけになりました。そこで忘れないうちに今回の問題点と解決過程を記録しておくことにします。

 先ず、本文への画像挿入配置について記します。TeXによる画像表示は画像形式と画像出力ソフトによってコマンドが異なります。

(1)EPS画像の表示
 事前にフリーソフト"Ghostscript"がインストールされていなければなりません。TeX文は次のようになり、コンパイルするとこれと同じフォルダに保存されていた画像が表示されます。
EPS画像挿入

tiger

LaTeX解説本では、この方法はおそらくpdfTeX以外ならどんな出力ソフトでも使えるはずとなっていますが、実際にはdvips以外はうまくいきませんでした。また、画像をEPS形式に変換しなければならないし、書籍データは最終的にPDFファイルとして保存するので、出力画像がPDFビュワーで読取れないことになります。

(2)BMP画像の表示(dviout)
 出力ソフトはdvioutを使用します。画像の横サイズ、縦サイズ(ピクセル数)を[bb=0 0 横 縦]の形式で書いておきます。
BMP挿入画像

mirai

 この方法もdvioutによる出力画像がPDFビュワーで読取れないことになります。

(3)JPEG,PNG画像の表示(dvipdfm(x))
 TeXの出力をPDFファイルに変換するdvipdfmやdvipdfmxを使いますが、graphicxパッケージを読み込む際のオプションとしては、いずれの場合もdvipdfmを指定します。本文のPDF化とマッチングしテキスト、画像ともPDFビュワーで読みとれ、そのまま印刷できるので実際的な方法です。TeX文は次のようになります。
JPEG画像挿入

marabu


(4)PDF画像の表示(dvipdfmx)
 出力ソフトはdvipdfmやdvipdfmxとなっています。解説本では、TeXはPDFのbb情報を読みとれないためbbファイルをTeXコマンドで作成するように書いてありますが、これを作ってもPDF画像の余白が広くなりすぎて旨く表示できませんでした。高価なソフトのAcrobatを使って事前に余白を切りつめておく必要があるようで、とても採用できません。

 以上のことから、今回はすべての画像表示を上記(3)の方法で行うことにしました。

 これまで書き留めてきたブログの内容を追加訂正の上集大成した本「個人出版社への道」の原稿作成に取りかかったのですが、予想外に時間がかかってやっと本文の一次原稿ができた段階でいまだに完成していません。初めはすでにネタがあるからと簡単に考えていましたが、実際に取りかかるとブログを本にするのは容易ではないことを痛感させられました。ブログはその時々に自由に書き下せば良いのですが、本は起承転結をふまえた一つのまとまりとして体系的に構成しなければなりません。しかし、あまりきちんと整理するとパソコンの操作マニュアルのようになって面白味がなくなるので、失敗談も入れながらブログの自由さをある程度残すようにしました。

 また内容構成だけでなく、前回の長編SFの時にはなかった本文中への画像配置の問題があります。オープン組版ソフトとして使っているTeXは、元来画像の取り扱いが得意ではなく、画像を所定位置に挿入配置するためには、すべてコマンドで指定しなければならず適否が直感的にわかるようになっていません。さらに画像の種類によって使用できる出力ソフトが異なるので、適正なものを事前に指定しなければなりません。描画領域のbb指定も必要ですが、PDF画像はバイナリのため読みとれず旨く配置できません。
その他、今回は実用書であるということと、格安出版システム確立過程を示す画像を多用することから、前回のA5版二段日本語縦書きではなく、A5版一段日本語横書きのドキュメントクラスを選択したので、ページスタイルが異なり前回得たノウハウが通じない場合が度々ありました。

 一通りTeX文を書いてコンパイルしようとすると次々にエラーが出てなかなか前に進みません。単純な文法ミス(例えばbegin{}----end{}のend{}記述漏れ)も多々ありますし、予約語(例えば\,&,%など)が文章中に使われていてエラーになることもありました。これは予約後を含む語彙(例えばTeX Q&A)を\verb| TeX Q&A |とすることで防げます。改行コマンド「\\」を行頭に単独で置いた時やその他理由不明でエラーになることがあり、修正に苦慮しました。初めの頃は挿入した画像が全く出力されずがっかりしていましたが、エラーを修正していきついに最後までコンパイル出来た時点では、出力位置やサイズはまだ不適正なものが多いですが一応出力はされています。これから少しずつ画像出力を修正していく予定です。


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