今、TeXによる書籍製作を試行していますが、デザインを必要とする表紙や表紙カバーはやりづらいと思います。白紙の状態では画像や文字のレイアウト、フォントサイズなどの適不適が直感的に把握できないので、別途原案を作ってからTeX文を書くようにするしかありませんが、それでは二度手間になります。特に背幅と裏表紙を含めて考慮すると、本文がA5サイズであれば表紙の用紙サイズはA4ではなくB4にする必要があり、本文とは違うドキュメントになります。表紙作成にはDTPソフトが最適なのですが、フリーDTPソフトは日本語縦書きができないので使えません。

 そこでやむなく、以前、ホンニナル出版での本の原稿作成でやったのと同様に、MS Word用の表紙台紙(1枚の用紙にA5表紙、背表紙、A5裏表紙の各位置の内外トンボを描いたもの)を使い、画像はネットでフリー素材を探して選びました。

 カーソル位置を左上の外トンボの角に置き、挿入→図→ファイルから を選択し、あらかじめ保存してあった画像ファイルを選択して挿入ボタンをクリックすると、台紙に画像が挿入されます。画像の書式設定で位置やサイズを調整します。表紙と背表紙のタイトルや著者名は、縦書きテキストボックスで作成し、テキストボックスの書式設定で「塗りつぶし無し」「線無し」を選択、移動ツールで所定の位置に移動・設定します。タイトルや著者名のフォントはDFG麗雅宋を用い、サイズや色は書式→フォントで適宜調整しました。

以下に作成した表紙を示します。中央の3本線が背幅を表すトンボ、それより左側が表紙、右側が裏表紙で、各々の端部を表すトンボ(内外)が4隅に示されています。

未来の影(表紙)

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14.日本語縦書き書籍の修正版
 これまで進めてきた各種の修正を適用した原稿のTeXファイル、及びコンパイル後の出力結果の代表例を以下に示します。
(1)メインファイルmain.tex
\documentclass[a5j,twocolumn,openany,papersize]{mytbook} % tbook.cls のコピー
\begin{document}
\title{\textbf{未 来 の 影}}
\maketitle
\frontmatter % ページ番号はローマ字、章番号は付けない
\tableofcontents % 目次を出力
\mainmatter % ページ番号は算用数字。章番号を付ける
\include{chap01} % 第1章 未来観測
\include{chap02} % 第2章 地球機構
\include{chap03} % 第3章 地球凍結解析
\include{chap04} % 第4章 未来の選択
\include{chap05} % 第5章 忍び寄る凍結
\include{chap06} % 第6章 太陽系外へ
\include{chap07} % 第7章 地下居住空間
\include{chap08} % 第8章 ゲノム変生
\include{chap09} % 第9章 ライフステーション
\include{chap10} % 第10章 恒星宇宙船
\include{chap11} % 第11章 惑星着陸
\include{chap12} % 第12章 地下都市
\include{chap13} % 第13章 深海生物
\include{chap14} % 第14章 クローン人間
\end{document}

(2)各章ごとのファイル(第1章ファイルchap01で代表)
\chapter*{1 未来観測}
\addcontentsline{toc}{chapter}{1 未来観測}
 照度を下げた会議室の空気は高性能エアコンの働きにもかかわらず重く淀み、出席者の顔のまわりに張り付いていた。眉間に深いしわを刻んだ顔、口をへの字に結んだ顔、能面のように張りつめた顔、シニカルな笑みを浮かべた顔等々、どの顔も沈痛に満ちて食い入るような眼差しを円卓中央の立体画像――漆黒の空間を背景にぽっかり浮かぶ銀色の球面――に注いでいた。その下方には所々灰色に汚れた白い起伏の連なりと、広大な白銀の鏡面が拡大像として表示されていた。\\
「他の観測点はどうなっているのかね?」\\
アメリカブロック出身で、気象物理の権威として知られているジョフ・ハミルトン博士が、眉根を寄せながら疑わしげな口調で言った。\\
「残り7つの観測点からはどうしても受信できませんでした。このG観測点のデータもノイズが多くて苦労しましたが、なんとか補正してやっと解析できたわけでして……」\\
アジアブロック出身の高次元時空解析局員シン・サンダは、申し訳なさそうに小さな声で答えた。\\
「それで同定された年代はいつなのかね?」\\
ヨーロッパブロック出身で、量子時空理論の創設に貢献したと言われているリー・クライマン博士が鋭く言った。\\
「はい、西暦2300年プラス・マイナス100年と同定されています。」\\
明快に回答できる質問にほっとしたシン・サンダは張りのある声で答えた。\\
「フム、早くてあと100年か……」\\
「それではこの画像データが何を意味しているのかについて討議をお願いします。」\\
議長を務めるアフリカブロック出身で地球機構環境保護局次長のゴリ・ガリバヌがきっぱりと言った。\\
「その前に、この画像データを得るまでのプロセスを説明してもらいたい。専門家がやってるんだから間違いはないと思うが、念のためだ。」\\
リー・クライマン博士がなだめるような口調で言った。\\
「では、時空解析局から説明してください。」\\
議長がシン・サンダの方をチラっと見ながら言った。\\
「時空解析システムはクォン・セルダンらが創設した高次元量子時空理論に基づいて開発され、今月から実稼働に入ったものであることはご承知のとおりです。
我々は定期観測時に静止軌道上にある8つの観測点から地球世界線の正の時間方向に量子波動を発信し、それを受信した未来時空の観測点から発信される負の時間方向の量子波動を受信します。
次に受信波に含まれる未来時空状態ベクトルを量子コンピュータに解析させ、トランスレータを介して立体画像処理装置でホログラムとして出力表示させます。
各プロセスにおける時空定数、境界条件、量子常数等の設定の詳細については、皆さんの席上に設置している端末にデータを送信してありますのでご確認ください。」\\
一気にしゃべり終えたシン・サンダは喉が渇いたのか卓上の給水セットから震える手でコップに水を並々と注ぎ、ゴクゴクと音をたてて飲んだ。\\
「事象年代の同定方法を説明してくれんかね?」\\
リー・クライマン博士が穏やかに言った。\\
「4次元時空ダイヤグラム上の地球/観測点間距離と、観測点からの量子波動円錐の回転角を用いて未来時空における地球までの時空距離を求め、年代を同定します。」\\
「量子波動円錐の回転角の計測方法は?」\\
「量子重力場発生装置の出力エネルギー/波動円錐回転角相関に基づく校正曲線によって算定します。」\\
「よくわかったよ、ありがとう。」\\
リー・クライマン博士は二三度軽くうなずきながら言った。\\
「それでは討議をお願いします。」\\
議長のゴリ・ガリバヌは今度こそ邪魔はさせないぞと言わんばかりの勢いで叫んだ。\\
「これが意味するものは明らかだ。何らかの原因で地球は100~300年後に氷の惑星になってしまうんだ。問題は何が原因かと言うことだ。ここ年の異常気象の頻発がさらにエスカレートして氷河期の到来を早めたのかも知れん。」\\
ジョセフ・ハミルトン博士は自説の「氷河期・気象変動相関論」を開陳した。\\
「原因は色々考えられる。小惑星の衝突、太陽異常、核戦争、異常気象等、その他にもあるかも知れん。要因系統図を作って各要因の生成確率を算定しなきゃならん。」\\
鷲を思わせる精悍な顔付きのリー・クライマン博士がきびきびと言った。\\
「ちょっと確認したいんだが、この画像は確定した未来を示しているのかね。もしもそうなら原因がわかっても何にもならんのじゃないかね?
また、確定してないんならこの画像は何を表していることになるのかね?」\\
鶴のような痩身をやや斜めに傾けて、量子意味論学の大御所として知られるインドブロックのチャンドラ・シタール博士が皮肉な笑みを浮かべながら言った。\\
「もちろん確定した未来だよ。原因がわかってもこれを変えることはできんが、どのように対応すべきかは決定できるわけだ。我々がどのように対応するかも確定してるのかも知れんが、マクロレベルの因果律が意識体にかかわるミクロレベルの情報流入を阻止しているから、我々には知ることができんのだ。」\\
むっとした顔でチャンドラ・シタール博士を睨み付けながらリー・クライマン博士がきり返した。\\
「それでは原因究明と対応策を策定するための計画概要の審議に入りたいと考えますが、その前に30分間のコーヒーブレイクを設けます。」\\
頃合いやよしと見た議長ゴリ・ガリバヌが休憩を宣した。会議は長引きそうであった。\\

(3)クラスファイルmytbook.clsの修正部分
 (a)本文各章タイトルのフォントサイズ
\def\@makeschapterhead#1{\hbox{}%\vskip2\Cvs{\parindent\z@\raggedright\reset@font\large\bfseries\leavevmode\setlength\@tempdima{\linewidth}%\vtop{\hsize\@tempdima#1}}\vskip3\Cvs}
(b)タイトルページ見出し
\newcommand{\maketitle}{\begin{titlepage}%\let\footnotesize\small
\let\footnoterule\relax\let\thanks\p@thanks\let\footnote\thanks
\vbox to\textheight\bgroup\tate\hsize\textwidth\null\vfil\vskip 60\p@\begin{flushleft}%{\LARGE \@title \par}%\end{flushleft}\par\vfil{\centering\@thanks}\vfil\null\egroup\end{titlepage}%

(4)コンパイル後の出力
 タイトルページ、目次、及び本文(第1章の2ページ分で代表)の出力結果を示します。
未来の影1rev

未来の影2rev

未来の影3rev

未来の影4rev

未来の影5rev


13.日本語縦書き書籍の表題紙作成 

 本のタイトル「未来の影」を独立の1ページに表題紙として出力させることにしました。TeX解説本によると、ドキュメントクラスbookはデフォルトが独立のタイトルページを出力するようになっており、タイトル、著作者、日付、及び出力コマンドを、main.texファイルの\begin{document}の下に入力すれば良いことになっています。

 今回の本ではタイトルだけでよいので著作者と日付を省略して、次のように入力しました。
 \begin{document}
 \title{未 来 の 影}
 \maketitle

 ところが、タイトルと入力した日付がページの上下方向中央位置に2行にわたって出力され、見た目が悪いのと不要な日付が入っているので困りました。TeX解説本を読むと、日付を省略した場合、ファイル作成日が自動的に出力されることになっています。

 この方法ではダメだと思ってタイトルページだけの別ファイルを作り、本文の各章と同様にmain.texに呼び込む方法を試してみてなんとかなりそうでしたが、せっかくタイトルページ出力がデフォルトになっているのに、それを生かさないのは非効率だと考えました。そこで、先の本文における章見出しの修正で経験した、ドキュメントクラスファイルの書き換えで対応できないか試してみました。

 ドキュメントクラスファイルmytbook.clsをエディタで開き、タイトルページの様式を指定しているはずの\maketitleを検索し、次のような当該箇所を見つけました。

\newcommand{\maketitle}{% \begin{titlepage}% \let\footnotesize\small \let\footnoterule\relax \let\footnote\thanks \null\vfil \vskip 60\p@ \begin{center}% {\LARGE \@title \par}% \vskip 3em% {\large \lineskip .75em \begin{tabular}[t]{c}% \@author \end{tabular}\par}% \vskip 1.5em {\large \@date \par}% \end{center}\par \@thanks\vfil\null \end{titlepage}%

ここで、タイトルが上端から始まるように\begin{center}を\begin{flushleft}に、\end{center}を\end{flushleft}に書き換え、著作者と日付を指定していると思われる箇所(\vskip 3em%から{\large \@date \par}%まで)を削除し、上書き保存しました。良く分からない箇所もあるにしてはかなり乱暴なやり方でしたが、結果的にはうまくいきました。

 ついでに、タイトルを太字にするため、上記のタイトル名称のコマンド\title{未 来 の 影}を\title{\textbf{未 来 の 影}}としました。以上で、タイトルはページ左右方向の中央で、かつ上部余白を除く上端から「未 来 の 影」と太字で表示されました。

12.日本語縦書き書籍の章見出し様式の修正
 前述のドキュメントクラスtbookを使った日本語縦書き書籍の作成において、TeXファイルのLaTeX処理結果をdvioutで見ると、本文の章見出しにも「第1章 未来観測」のように「第」と「章」が自動的に入っている上に、見出しのフォントサイズが本文のフォントサイズより異常に大きくて、極めてアンバランスでした。今回の原稿では、内容的に第○章とするのは大げさなので、目次と同様に「第」と「章」を無くして「1未来観測」のようにするとともに、フォントサイズをもっと小さくしたいのです。

TeXの本やネットで調べたところ、章のタイトルだけを表示させるには\chapter*{未来観測}のように、*を付ければよいことが分かりました。ただし、このままでは目次も表示されなくなるので、その後に\addcontentsline{toc}{chapter}{未来観測}を追加する必要があるということです。ところがこの方法では章番号が付かないので章見出しや目次の章タイトルは「未来観測」だけになってしまいます。そこでやむなく、変則ですがコマンドを次のようにしました。
\chapter*{1 未来観測}
\addcontentsline{toc}{chapter}{1 未来観測}
つまり、章番号をタイトルの一部として手動で入れ込んだわけです。これはTeXとしては正しい使い方ではないと思いますが、章番号とタイトルだけを表示させ、かつ、章番号を自動で表示させる方法が分からないので仕方がありません。

 本文での章見出しのフォントサイズは、TeX Q&Aで調べて、tbook.clsファイルの\makechapterheadで指定されているフォントサイズを書き換えればよいことが分かったので、mytbook.clsをエディタで開いて当該箇所を見つけ、オリジナルのフォントサイズ指定\Huge(24.88pt)を\large(12pt)に書き換えて上書き保存しました。

 以上の操作によって、本文章見出しも目次の章タイトルも、適正なフォントサイズで「1 未来観測」のように表示されるようになりました。まだ目次における各章のページ番号の位置の修正は旨くできません。

11.日本語縦書き書籍の目次様式修正
 前述のドキュメントクラスtbookを使った日本語縦書き書籍の作成において、TeXファイルのLaTeX処理結果をdvioutで見ると、目次に「第1章 未来観測」のように「第」と「章」が自動的に入っていました。今回の原稿では、内容的に第○章とするのは大げさなので「第」と「章」を無くして「1未来観測」のようにしたいのです。

tbook.clsファイルを見ると、目次の表示様式が「第1章 未来観測」となるように設定されていることが分かりましたが、部分的にファイルを書き換えると、全体にどのような影響がでるか分からないので踏み切れませんでした。tbook.clsファイル全体を隈無く理解できれば書き換えも可能でしょうが、まだそこまでやるだけの能力がありません。

 TeX Q&Aなどで調べている内に、設定された目次様式はTeXがコンパイル時に出力する.tocというファイルに書かれており、これを修正すればよいことが分かりました。原稿のTeXファイルを格納しているディレクトリを見ると、確かにmain.tocというファイルがありました。これをテキストエディタで開き、「第」と「章」の文字をすべて削除してから上書き保存しました。この状態で原稿のTeXファイルをLaTeX処理(コンパイル)してdvioutでレビューすると、目次の各章の表示が「第1章 未来観測」から「1未来観測」のように目指した形に変わっていました。

 目次表示については、上記以外に各章のページ番号の表示位置が最下端にあり、各章のタイトルとの間が開きすぎているので、もっと上の方に詰めて間を狭めたいのですが、やり方がわからないので懸案になっています。main.tocファイルを見てもどこをどう直せば良いのか分かりませんでした。

10.日本語縦書き書籍のページ番号修正
 前述のドキュメントクラスtbookを使った日本語縦書き書籍の作成において、TeXファイルのLaTeX処理結果をdvioutで見ると、余分な白紙が2ページ続き、本文のページ数が「2」から始まるという問題がありました。これを解決するためネットやLaTeXの本を調べ回るのに多大の時間を要してしまいました。

 初めは、本文の開始を指定する\mainmatterというコマンドが、横書きの(左綴じ)場合は奇数ページ起こし(右ページから始める)の機能を持つと説明されていたので、今回のような本文が左ページから始まる縦書き(右綴じ)の場合に適用すると、最初のページ(右ページ)には何もないので白紙(ページ数は1 )になり、本文がある最初のページ(左ページ)のページ数が2になるのではないかと考えました。

 そこで、\mainmatterというコマンドの内容を変えれば良いのではないかと考え、ネットで色々調べましたがこのコマンドの内容を表示したものは見つかりませんでした。TeX Q&Aのサイトで過去の質疑応答を検索しているうちに、ドキュメントクラスtbookを使ったときのページ数表示に関して、同様の現象に対する対策法を質問しているのがやっと見つかったのですが、4年も前の質問なのに誰も回答していなくてがっかりしました。どうも日本語縦書きの書籍作成を試みている人は少ないようです。購入したLaTeXの本も横書き文書に対する解説だけで、縦書きについてはほとんど言及していません。

 調べていく内にどうも\mainmatterは単なる符帳のようなもので具体的な内容はなく、実際の処理内容はドクメントクラスファイル(tbook.cls)に書かれているように思えました。そこで、tbook.clsファイルをエディタで開き、かなりの長さのコマンド列を読んでいきましたが、初心者の悲しさである程度以上のことは理解できませんでした。ただし、その中でopenright(右ページ起こし)の場合、\mainmatterであればdouble pageをclear、そうでなければone pageをclearし、アラビア数字でページ番号を付けるように、処理内容が書かれていることは理解できました。

 横書きのドキュメントクラスjbookやjsbookではopenrightがデフォルトになっているようなので、どこに記述されているのか分かりませんが、恐らく日本語縦書きのドキュメントクラスtbookもそうなっていると考えられます。従って、ドキュメントクラスのオプションでopenleft(左ページ起こし)を指定すればうまくいくのではないかと考え、main.texの最初で\documentclass[openleft]{mytbook}としましたが、何も変わりませんでした。

ネットで調べるとopenleftというオプションを付けたドキュメントクラスもあったのですが、なぜかtbookでは有効ではないようです。これでほとほと困り、しばらく放置していましたが、章を左右どちらのページからでも始めるopenanyというのがあることが分かり、\documentclass[openany]{mytbook}としてTeX処理すると、あっけなくも見事に白紙なしで本文のページ数が1から始まり、懸案の一つが解決しました。


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