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 ISBNはWebのドメインやIPのように個人でも取得できることが分かりましたが、取得方法や費用、対象などはどうなっているのか、日本図書コード管理センターのHPで勉強しました。

1.ISBNの対象
書籍、コミック・ムックなど雑誌扱いで流通されるもの、カセットテープ・ビデオ・CD等の電子出版物、マイクロフィルムなどで、定期刊行物(雑誌)は対象外となっています。また、2005年5月以降、特定の表題を持つ著作物で、国際基準でISBNの対象外とされたものでないこと、および雑誌でないことの諸条件を充たすものは、Web上のデジタルコンテンツも対象になっています。

2.ISBNの取得方法、費用など
(1)取得できる出版者記号
新規登録出版者は原則として出版者記号7桁(発行可能点数10点)または出版者記号6桁(出版可能点数100点)に限られています。現行のISBNは、例えばISBN4-949999-08-7のように10桁で表示され、最初の4は国記号で日本を表し、最後の7はチェックデジットで、「モジュラス11 ウエイト10-2」という方法で、次のようにして求めます。

各桁の数に10~2の重みを掛けて得た値を合計します。上の例では367になります。
4×10+9×9+4×8+9×7+9×6+9×5+9×4+0×3+8×2=367
この値より大きい11の倍数の最小値を求めます。11×34=374が求める値です。これと367の差7がチェックデジットになります。つまり、367にチェックデジットの7を加えると11で割り切れる数になるといことです。上記の合計値が11の倍数の時はチェックデジットが0、差が10の時はチェックデジットが大文字のXになります。

 ISBN10桁の内、最初と最後を除いた8桁が出版者に与えられた桁で、7桁の出版者記号を選択した場合は、残り1桁(0~9)が発行可能書籍数(10)となり、6桁を選択した場合は、残り2桁(00~99)が発行可能書籍数(100)となります。従って出版者記号の桁数が少ないほど多数の書籍を発行出来ることになります。ちなみに、岩波書店の出版者記号は00です。

(2)出版者記号の有効期限
 出版者記号には有効期限はありません。桁数に応じた発行点数に達するまで無期限で利用でき、満数になったときはもう1個別の出版者記号を取得することになっています。

(3)費用
 出版者記号7桁 登録料 15,750円と国際本部分担金(5年分)2,100円の合計17,850円
出版者記号6桁 登録料 26,250円と国際本部分担金(5年分)4,200円の合計30,450円

(4)申請
 HPからダウンロードした出版者記号申込書に必要事項を記入、捺印のうえ、上記費用の郵便振替の振込み済み控え(払込票兼受領書)のコピーを貼付してセンターに郵送することとなっています。

ただし、ISBN国際規格の改定で桁数が10桁から13桁になるのに伴い、2007年1月1日以降の新刊本 については新国際規格に完全準拠すること、既刊本の書換え(13桁化)表示は、新国際規格の準拠を目標とすること、輸出本の表示は新国際規格に完全準拠とすることがうたわれています。従って、急がないのであれば、ISBNの取得は来年以降にした方が良さそうです。

 ブログ「本を買ってください」や、そこで手本として引用されているHP「コラム本出版までの道のり」を読むと、ISBNの取得は簡単にできるようなんですが、出版社でもない個人が本当にできるんだろうかという疑問が湧いてきて落ち着かなくなりました。そこで、ISBNを管理している本家本元の日本図書コード管理センターのHPを読むことにしました。

 目次の最初「日本図書コードとセンターの役割」に、上記の疑問が氷塊する次のような文言が明記されていました。

『この膨大な出版物を、どの国の、何と言う出版者の、どのようなタイトルの出版物であるかを特定でき、容易に検索できる基盤となる番号を決定するシステムが「ISBN」(International Standard Book Number)つまり国際標準図書番号です。
 わが国では1981年からこの国際団体に加盟し、出版物へのISBNの記載を推進して参りました。
 更にわが国では「ISBN」の基本部分に加えて、「読者対象」「発行形態」「内容」を示す分類コードと本体価格を加えたコード体系を開発し「日本図書コード」として使用しています。
 この「日本図書コード」を印刷することによって出版物は国際的なコード体系の一部を構成することになり、また国内流通の基本条件を備えることになるわけです。
 ISBNは書籍類を発行しようとする場合法人と個人とにかかわりなく誰でも取得できるようになっているのはこのような理由によってなのです。』

 これで最初の疑問は氷解しました。そのほか取得方法や費用なども詳細に書かれているようなので、良く読んで次回に紹介したいと思います。

 ブログランキングを見ていたら、「本を買ってください」というチョット変わったタイトルのブログが目につて、説明文に『極小個人的出版社「稀人舎」活動中』とあったので、興味を引かれてアクセスしてみました。稀人舎設立の経緯がすごく面白くて、しかも個人出版について知りたいと思っていたことが詳しく書いてあって非常に勉強になりました。自分で本を出版したい人は、ぜひ一読されることをお勧めします。

 ことの起こりは、東京で出版物のデザイナーをしている本人(中年のおばさん)が、自費出版会社に乗せられて高額の自費出版をする寸前にある山形県在住の父親を思いとどまらせるために、父親が以前に自費出版した本の売れ残り500部を売る約束をするはめになったことのようです。

それ以来、委託販売会社を当たったり、ISBNコードを取得するために奔走したり、取り次ぎを通さないネット販売に挑戦したり、がむしゃらに動き回って、ついには一人出版社を設立し、発売出版社を介してアマゾンなどの大手ネット販売店や市場の書店で本を販売できるようになったということです。その間の試行錯誤の過程で様々な知識を学んでいく様子が、軽妙な文章で描かれています。

 やはり、個人出版社を作るところまでいかないと、道は開かれないようです。本当にそこまでやる気があるのか、と自問しています。

 色々調べてきて、最低限の費用で紙ベースの本を出版するには、結局自分で印刷・製本・販売するしかないと思い始めていたら、まさにそれを6年前から実際に実行している人がいました。あくり出版というサイトでDIY産直出版を提唱し、体験に基づいたその実現方法を本とCDにまとめて販売しています。また、簡易製本キットも合わせて販売しているようです。個人出版のビジネスモデルのようなところです。

 「あくり」とはあっと驚くクリエイティブなという意味の造語で、「DIY産直」はDo It Yourself産地直送という意味だそうです。つまり、書き手が自分で印刷、製本、販売のすべてを直接やってしまうということです。原稿はWordで作成し、PCプリンターで印刷、簡易製本キットで製本、自分のサイトのホームページでネット販売するというものです。

 自分のために2,3冊の本をつくるだけであれば、製本キットなしでも手作りで製本すれば良く、ホームページで本を紹介することも簡単です。その実例もネットで見かけますが、ここの特徴は、出版会社を立ち上げ、本にはISBNを付けて販売していることです。単に、個人で本を作ってもISBNは付けられず、市場に流通させることはできません。これが個人出版の悩みの種なんですが、そこを突き抜けているところがすごいです。

 ネットを見ていたら。ぷりパブ(Private Publishing)というサイトがありました。ホンニナル出版と同様のODPサービスを行っているようです。PDF校正までは無料というのも同じだし、印刷・製本費用もA5判モノクロ200ページのものが、10部未満の場合2,940円とほほ同等です。ただし、その後の販売については記載がない(ホンニナル出版はそこでのネット販売を行う)ので、印刷・製本渡しまでのようです。
 問題なのは利用規約で、「当サイト上の全ての素材、商標、システム、その他知的所有物は、弊社の財産であり、著作権、商標権及びその他知的所有権の対象になります。したがって、私的利用の為に複製する事は許されますが、権利者に無断で修正、賃貸、送信及び放送することは禁止されてます。また、当サイト上の素材を販売したり、有償で配布することも禁止されてます」、「利用者は、本サービス上にアップロードした情報について、何らの知的財産権又は請求権も保有しないものとします」という文言があり、字句通りに解せば著作者には著作権がないことになり、これはいくら何でもひどすぎると思います。

今、フリーの組版ソフトTeX(テフまたはテックと読みます)を勉強中ですが、ネットを見ていたらTeXを使ったオンデマンド印刷(ODP)サービスをしている印刷会社がありました。京都の老舗の印刷会社で、中西印刷(株)という会社です。TeXとXeroxのDocuTech印刷機を連携させたTeX-ODPシステムを開発し、学術書刊行に適用するとともに、自費出版サービスにも応用しています。これらが評価されて2000年の「第1回オンデマンドアワード」では、イノベーティブ技術部門で大賞を受賞しています。

 ただし、TeX-ODPによる自費出版の費用は、サイトに表示されている算定式に依れば、TeXで入稿しODPで印刷するにもかかわらず予想外に高いです。オフセット印刷より大幅に安いと書いてありますが、そんなことは当たり前で、せっかくTeX-ODPシステムを開発したのなら、もっと安くできるはずだと思います。オフセット印刷を比較の基準にするのではなく、通常のODPを基準にして、それよりこんなに安くなると言って欲しい。完成されたTeX原稿をDocuTechにかけるのであれば、ほとんど手間はかからないのではないかと思います。

 ODPの将来像について、この会社の専務さんがちょっと面白い予測をされているので紹介します。「今後の出版物は将来的にはWebに吸収されてしまい、図書館に記録として残されていく」と予測しています。学術書関係は明らかにその趨勢にあるということです。そして、「大量に消費される情報を見るためのメディアは、携帯端末に変わっていき」、「超長期的な視点で考えた時、小ロットの印刷物こそ悠久に情報を残すことができる」と考え、そして、「ここにオンデマンド印刷機の一つの重要な役割があるのではないでしょうか」。と述べています。

4.オンデマンド印刷機
 液体トナーを使用したEprint、ドライトナーを使用したXeikon(クロマプレス)、印刷機付属の刷版を用いるハイデルのQuickMasterDI、コピー機ベースに高速化したXerox Docucolor、Canonpixel MAX、モノクロではXerox Docutechなどがあります。

(1)QuickMasterDI
HeiderbergのQuickMasterDIはCTP+カラーオフセット印刷に近いもので、A3サイズのカラー10000枚/hの能力を持っています。システム全体のコストは80 M\程度で、運用コストは1日16万円程度かかるようです。

(2)Eprint,Xeikon(Choromapress)
トナーベースのEprintやXeikon(Choromapress)は版材が存在せず、カラーコピー機と同様な感光ドラムを使用した電子写真方式です。ページごとに違う絵柄をページ順に出力できて、製本工程の手間が省けます。

(a) Eprint1000
 Eprint1000は800dpiの解像度をもつ電子写真方式のオンデマンド印刷機です。レーザで画像データをOPC(有機光感光体)に書き込み、そのOPC上に液体トナーを乗せ、これをブランケットに転写し紙に印刷する方式です。スピードはA3サイズ1色で4000枚/h、4色で1000枚/h。またCMYKプラス特色2色の印刷も可能です。システムは定価で60 M\強、保守料などを含めると月額で150万円程度イニシャルコストとしてかかり、ランニングコストはカラーで60円/枚、モノクロで20円/枚くらいです。

(b) Chromapress
AgfaのChromapressは600dpiの解像度をもつ電子写真方式のオンデマンド印刷機です、ロール紙を用い、4色カラートナーを用紙に直接転写します。裏表4色ずつの4色両面同時印刷を基本としており、片面でも1色になってもスピードは変わりません。また、長尺印刷が可能です。スピードはChromapress 32iで4200ページ/h(A4両面)。コストは60 M\程度。イニシャルコストとしてはEprint同様保守料込みで月額150万円、ランニングコストはA4サイズ両面で約14円かかります。

(3)Xerox Docucolor4040、Canon Pixcel Max(CLC1000)
 通常のカラーコピー機を高速化したもので、4色のドラムを直列に配置し用紙を回転させずに高速に出力することを可能にしています。どちらも解像度は400dpiです。Copy SpeedはDocucolorでA4片面40枚/分、MaxでA4片面31枚/分。価格はDocucolor4040本体で7 M\、Max本体が6.7 M\。RIP(Raster Image Processer)はFieryなどいろいろ選べるが約5 M\。実売価格では本体とRIP周辺機器で10 M\前後。

(4)Xerox DocuTech
 モノクロ専用でA4を135枚/分、つまり1時間では8500枚と、オフセット印刷機並のスピードをもっています。標準でホチキス、バインダ製本が可能で、オプションで中綴じ製本機やくるみ綴じ製本機を連結できます。中綴じなどで必須となる面付けに対応したシグネチャ機能があります。また、スキャナからの出力もできるため、デジタル・アナログが混在したものからの出版物の作成が可能です。価格的には本体とRIPで約35 M\程度。

3.DTPとODP
 DTPは机上出版、つまりPCの画面上で出版物を作ることですが、技術発展に伴いPは当初のPublishingからPrepressへと意味合いが変容しています。そして、ODPと結びつくことで従来の印刷業のイメージを一新しつつあります。従来は製版、印刷、製本の各段階で専業者が介在する複雑な形態でしたが、DTP-ODPシステムによって、原稿作成と印刷・製本が直結するシンプルな形態になり、作業内容も大幅に変化しました。例えば、DTP以前のデザイナーは、文字や色を紙の上で指定するだけで良かったのですが、DTP以後ではDTP特有のノウハウだけでなく、印刷や印刷機の知識も習得しなければならなくなりました。個人出版しようとする人は、このデザイナーに対するのと同じことが要求されることになります。

 ODP印刷機はPC用のプリンタに近いので、本格的なDTPアプリケーションを使わなくても、WordやExcelなどのビジネスアプリケーションを使ってDTP出来る可能性があります。本格的なDTPアプリと比べてビジネスアプリに欠けている機能は、次のようなものと言われています。
(1)トンボが付けられない
(2)4色分版機能がない
(3)CMYKに対応していない
(4)精度が低い
(5)日本語組版機能が弱い
(6)ドキュメントサイズを自由に設定できない
(7)レイアウトの自由度が低い

 オフセット印刷の場合は上記の(1)(2)(3)は致命的と思われますが、ODP印刷機の場合これらは問題にならないし、A4やB5などの定型の印刷物を作る場合は(4)(5)(6)も問題ではありません。以前に書いたように、私がホンニナル出版のODPで作った本の原稿は、表紙の写真画像も含めてすべてWordで作り、フリーソフトでPDF変換したものです。

 今後はビジネスアプリが高機能化する一方、DTPアプリが価格や操作性の面で使いやすくなっていき、ODPアプリケーションとして統合されることが期待されます。

2.印刷方法
 印刷方法も従来法とODPでは異なります。従来法は版式によって、凸版、平版、凹版、孔版に分類されますが、紙への印刷は平版の一種であるオフセット印刷が一般的です。オフセットとは紙と版が直接触れないと言う意味で、図1に示すように、刷版ローラ上の画線を一旦中間ローラに転写し、それを紙に再度転写するものです。
 刷版は化学的に画線部が疎水性、非画線部が親水性に分れており、水が供給されると平滑な画線部は水をはじき、非画線部は顕微鏡レベルの微小な凹凸面で水を保持します。次にインクが供給されると、画線部にはインクが付着し、非画線部では水ではじかれてインクが付着しません。
オフセット印刷

図1 オフセット印刷

 ODPは送られてきたDTPデータに基づいて、印刷機で直接印刷します。印刷機としては、コピー機から発展した電子写真方式、ODP専用のハイエンド電子写真方式、インクジェット方式、印刷機の内部でオフセット印刷用の版を作って印刷する方式などがあります。コピー機から発展したタイプには、多くの場合、インラインの簡易製本機がセットされているので、断裁、製本用の機材や人員をそろえる必要がないというメリットがあります。

オンデマンド出版(ODP)は、多種少部数の出版に適していると言われていますが、その中核を担うのがオンデマンド印刷であり、そのベースとなるのはDTPで作成されたディジタルデータです。また、ハードウエアとしてはオンデマンド印刷機があります。オンデマンド印刷はオフセット印刷など従来の印刷法とどのように違うのでしょうか? 先ず、印刷工程を見てみましょう。
1.印刷工程の比較
印刷工程

従来法は、校正後の原稿データをフィルムに直接出力するCTF(Computer To Film)方式で製版フィルムを作成し、これを感光剤を塗布したPS版に密着させて紫外線で露光、現像して刷版を作成します。最近では製版工程を経ることなく、フルデジタルデータを直接刷版プレートに出力するCTP(Computer To Plate)方式に移りつつあります。この刷版を印刷機にかけて、刷版上の画線を紙に転写します。
 オンデマンド印刷(ODP)は、従来法における製版―刷版工程を省略し、DTPで作成された原稿データを、直接印刷機に送って印刷する方法です。
 製版―刷版工程は、印刷部数に関係なく同じ費用が発生する固定部分なので、少部数の場合一冊当たりの費用負担が大きくなります。ODPはこの固定部分がないので、少部数でもリ-ズナブルな価格が実現できると言われています。また、工程数が少ない分納期短縮が容易であるとも言われています。


電子出版と一口に言っても様々な形態があるんですね。最もシンプルなのはいわゆる電子本で、内容をディジタルデータファイルとして保存、データの一部をサイトで公開し、読者はダウンロードしたファイルを特定のビュワーソフトを使ってパソコンで読むというものです。

これだと著者が電子データファイルを作れば出版に費用はかからないと思われますが、サイト運営者は電子本製作費用という名目で所定の料金を請求しているようです。例えば、猫乃電子出版というサイトでは、非商業出版向けで10,500円、商業出版向けで31,500円(容量1MB以下)、52,500円(容量1MB以上)となっています。特定のビュワーで見れるようにファイル変換するだけの自動的作業にしては、不当に高いのではないでしょうか?このファイル変換を著者がやった場合でも、上記料金が各々10,500円、31,500円となっており、リ-ズナブルとはとても言えません。

次には従来の紙ベースの出版と電子本の接点に位置すると思われるオンデマンド出版があります。ディジタルデータファイルとして保存、データの一部をサイトで公開するのは電子本と同じですが、購入手続きが完了したものだけを紙に印刷、製本して配送するというものです。オンデマンド出版機能を有する書店であれば、その場で印刷、製本、販売するようです。

これも著者がディジタルデータファイルを作れば、印刷、製本するまでは費用はかからないはずなのに、基本料金とかいう名目で所定の料金を事前に徴収しているようです。例えば、万能書店というサイトでは、完成品を当該サイトでネット販売するという前提で、基本料金23万円と初版印刷部数50部の印刷費用が必要としています。基本料金の内訳は不明ですが、23万円はどう考えても高すぎます。その点では、先に紹介した、ホンニナル出版は、ディジタルデータファイルをサイトに保存し、データの一部(表紙と中面2ページ)公開までは、全く費用がかからないというユニークさがあります。まあ、無料出版といっても良いのではないかと思います。

そのほかには、電子本、オンデマンド出版、従来の紙ベースの出版のいずれにも対応するようにしている、例えば、e-book land、のようなサイトもあります。ここも電子本で9万円、オンデマンド出版では印刷費用(A5サイズ200ページで2940円/冊)のほかに、出版手数料10万円、ISBN付は+5万円、アマゾンのネット販売はさらに+5万円という法外なものです、

なぜ、本とか出版とかの名前が付くと、単なるディジタルデータファイルのアップロードに高額な費用が請求されるのか理解できません。これは出版業界の体質なのか、それともそれに便乗しているサイト運営者の悪癖なのか、あるいは両方なのかもしれません。こうなったら、自分のホームページか投稿無料サイトに自分の作品をディジタルデータとしてアップロードするしかないでしょう。誰も読まないという恐れはたぶんにありますが・・・。

なぜ本を出版したいのかと考えると、自己顕示欲と印税や著作料などの収入期待というところでしょう。あるいは、自己表現や社会的認知の欲求を満たすためということもあるでしょう。ここで問題となるのは読者として誰を対象に想定するかということです。例えば、印税や著作料収入を期待するのであれば、当然、不特定多数の読者を前提にすることになります。しかし、出版業界の現状からみて、知名度のない一個人がそれを実現することはほとんど不可能でしょう。

自己顕示や自己表現、社会的認知については、想定する読者の範囲によって実現可能性が変わってきます。最もシンプルなのは読者が自分一人だけというものですが、社会的認知は得られないし、単なる自己満足に終わることになります。もう少し範囲を広げて、家族、友人、知人、小規模サークルの仲間を対象とした場合、それなりの満足は得られるかもしれませんが、不完全燃焼の感は否めません。ただし、オンデマンド出版を利用することで比較的容易に実現でき、少部数であれば費用も少なくて済みます。

やはり、十分満足できる程度の不特定多数の読者に読んでもらいたいというのが、本音でしょう。従来の出版ルート「正常ルート」は、著者→出版社・印刷所→出版取り次ぎ→書店となっています。このルートにのせるには、著名なプロ作家か、名のある文学賞を獲得したか、マスメディアなどで話題になったか、などのなんらかの知名度がないと無理のようです。従って、これらの条件を満たさない場合は、「正常ルート」以外の方法を見つける必要があります。

その方法として、最も有望なのがオンデマンド出版ですが、現状では主に次のような難点があります。
(1)少部数を想定しているため1冊の製作原価が高く、適正な定価を設定できない。
(2)本の公開がほとんどの場合、オンデマンド出版社および関連会社のサイトに限定され、不特定多数の読者が訪れて購入する可能性が極めて低い。

製作原価の問題は、自分で印刷・製本するか、いっそのこと紙ベースを止めて、電子データのままで販売する、いわゆる電子出版に切り替えるしか解決する方法はないと思われます。紙にこだわること自体が、活字文化の時代に生きた旧人の幻想かもしれません。

本の公開場所の問題は、不特定多数の読者が訪れるアマゾンなどのオンライン書店が、印刷所などと提携して、出版社を経由せずに自らオンデマンド出版を行うのが、最も解決に近い方法ではないかと考えます。米アマゾンはすでにオンデマンド出版サービスを行っているようなので、いずれ日本でも実施されるのではないかと思われます。

ネット検索していたら面白そうな本作りのブログ「ちょっと本を作っています」がありました。単行本サイズで160ページの本(定価980円)1000部を38万円で個人出版したというものです。1部当たりの費用は380円になりますから、これは超格安だと思います。ISBNもちゃんとついて、出版社から出版取り次ぎを経て全国の書店に配送される通常ルートにのせているところがすごいです。本のタイトルは「38万円で本ができた」というもので、ブログに書きためていたものを本にしたということです。

著者は元々出版社に勤めていた人で、今は「一人出版社」を経営しながら個人出版を勧めているということです。ブログには出版の意義や出版業界の現状についての含蓄に富んだ話が書かれていて、大変参考になりました。今時の出版業界は本が売れないためにかなり危機的な状況にあるそうです。売れるのは著名な著者の著作か、売れた実績のある書籍の類似品しかないそうです。

個人で作った本を書店に並べるには、既存の出版社に依頼して、出版取り次ぎ経由で書店に配送する「正常ルート」を取るのがベストと書かれていますが、出版業界に何のつながりもない全くの素人の依頼を受けてくれるかどうか疑問です。仮に引き受けてくれて書店に本が並んだとしても、一冊も売れない可能性が非常に高いと思われます。既存の出版ルートに頼らない方法を模索する必要があるようです。

先に紹介したDTPソフトScribusは、今のところ日本語の縦書き入力ができないという難点があります。そこで色々調べたところ、組版ソフトのTeXを使って本が作れることが分かりました。TeXは理工系の学会投稿論文を作成するのに古くから使われており、日本語用に修正されたpLaTeXは日本語の縦書きにも対応しています。それにオープンソースのフリーソフトで無料というのが魅力的です。

元になる文書はエディタで入力したテキストでよく、Webで使うHTMLのように本文中にタグのようなものをつけていくだけです。それもフリーの統合環境ソフトを使えば大枠は楽に設定できるし、コンパイルや出力もマウスで操作できるようになっています。途中で仕上がり具合を見るためのビュワーもあるし、PDF形式への出力も簡単にできます。もちろん画像の組み込みも可能です。

本体及び関連ソフトのインストールと設定が少し面倒ですが、部分的には自動インストーラも利用できるので、それほど難しくはありません。私もネットからソフトをダウンロードしてWebのTeX解説ページを見ながらインストールと設定を行いましたが、基本部分は問題なく作動しました。ただし、各種画像ファイル形式の取り扱いやHTMLへの変換などがうまくいかず、画像の配置も自由になりませんでした。

そこで、少し体系的に勉強する必要があると考え、TeX関係の定番と言われている本「LaTeX2e美文書作成入門」を購入しました。今読み始めたところなので、ある程度まとまったところで逐次紹介していきたいと思います。

5.日本語の入力
日本語入力については、当然のことながら元のチュートリアルに記述されていなかったので、追記しました。先ず、Wordなどのワープロソフトで作成した日本語のドキュメントを.txt形式で保存する必要があります。その際エンコード方法にUTF8を選択します。
Scribusのページ上でテキストフレームを作り、右クリック->テキストの取得で先の保存された日本語ドキュメントを取り込みますが、このとき図24に示すように、エンコーディングのボックス内をutf8に選択しなければなりません。
fig24

図24 日本語ドキュメント取り込み時のエンコーディング方法選択

fig25

図25 日本語ドキュメント取り込み

この段階では、未だテキストフレーム内は日本語表示されていません。メニューの編集->テキストの編集、または右クリック->テキストの編集、あるいはメニューアイコンのテキストの編集をクリックし、図25に示すように現れたストーリエディタのダイアローグボックス内の日本語ドキュメント全体を選択、反転させた状態で、フォントをMS Mincho RegularまたはMS Gothic Regularに選択し、テキストフレームを更新のアイコンをクリックすると、テキストフレーム内のドキュメントが日本語で表示されます。
現在の所、テキストフレーム内の日本語をテキストの編集ツールで直接編集することは出来ず、外部からutf8でエンコーディングした編集用テキストをインポートする方法しかなさそうです。また、日本語特有の縦書きもできません。いずれはできるようになるとは思いますが、現段階でもなんとかできないか調べて報告します。

6.PDFファイルの作成
メニューアイコンの「PDFファイルとして保存」をクリックし、保存場所を指定するだけで、画像とテキストが混在したドキュメント(横書き)をそのままPDF化できます。

以上でScribusの使用については終了します。

4.スクラップブックの利用
メニューのウィンドウ->スクラップブックのクリックでスクラップブックを開き、表紙(ページ1)のヌウを含む画像フレームを選択し、右ボタンでスクラップブックにドラッグします。新規エントリーダイアロ-グボックスが現れたら、新オブジェクトに”gnu”という名前を付け、OKをクリックします。スクラップブックをファイルメニューから”album.doc-scribus”として保存します。
スクラップブックからアイテムを取り出すときは、左ボタンでページ上にドラッグします。従って一度作ったアイテムは、スクラップブックに格納しておけばいつでも利用できるということです。
fig23

図23 スクラップブック

3.裏表紙の作成
ページ8の上で図22に示すように、幅72mm、高さ36mmの画像フレームを作り、あらかじめ保存されているScribusロゴ”scribuslogo.jpg”を取り込みます。フレームの下に10mmの正方形を5つ並べて作り、最初の色を白(縁は黒)とし、他は縁なしで2番目が青、次は赤紫、黄色、黒とします。シフトキーを押しながらすべてのフレームを順次選択し、メニューのアイテム->グループ化をクリックし、全体を一緒に移動させて任意の位置におきます。
fig22

図22 裏表紙の作成

(2)テンプレートの利用
利用前に、作業空間ウィンドウの左下のプルダウンメニューで、当該ページが利用対象ページであることを確認する必要があります。ページ1は表紙で右ページになります。ページ2は左ページで、ページ->マスターページに適用で、マスターページに左中面を選択、適用先に現在のページを選択してOKをクリックします。ページ3は右ページなので右中面のマスターページを選択します。この操作を6つの内面ページに対して繰り返します。最後のページは裏表紙なのでマスターページは適用しません。
図20にページ2と3にマスターページを適用した結果を示します。
fig20

図20 中面の左右ページへのマスターページの適用

図21に全ページのサムネイルを示します。
fig21

図21 全ページのサムネイル

2.中面のページ作成
メニューのページ->挿入で図18のダイアローグボックスを開き、挿入欄に7を入力します。
fig18

図18 ページの挿入

OKをクリックすると7ページが挿入され、画面最下段のページ表示欄が8of8となります。プルダウンメニューを見ると1,2,3,4,5,6,7,8となっていて、番号クリックで任意のページを表示できます。
(1)テンプレートの作成
中面用のテンプレートを作成します。編集->マスターページで現れたダイアローグボックスで新規マスターページをクリックし、最初のテンプレートの名前「左中面」を入力してOKをクリックします。そして、すべての左ページの基本になるページの様式設定を下記要領で行います。
●座標X=12mm,Y=10mmに50%黒、テキストフロー無効の幅6mm、高さ274.5mmの矩形フレームを1つ作成する。
●座標X=23mm,Y=22mmに、幅40mm、高さ263mmのテキストフレームを1つ作成し、メニューのアイテム->複製コピーで、部数3、水平移動45mm、垂直移動0mmとして3部複製する。
●座標X=12mm,Y=284.32mmに、長さ186mm、幅1pt、カラーYellowGoldの水平線を1つ置く。
●座標X=12mm,Y=10.22mmに、長さ185mm、幅1pt、カラーYellowGoldの水平線を1つ置く。
●最初に作った50%黒の矩形フレームの頂部に、BookmaLRegularフォントでサイズ27pt、カラーYellowGoldのテキスト”S”、底部にサイズ12pt、カラーWhiteの数字”1”を作成する。
●ヌウの画像”gnu-head-sm.jpg”を含む幅16.9mm、高さ16.2mmの画像フレームを、第2、第3のテキストフレーム間の中央に置く。
以上の操作によって、図19に示す左中面用のマスターページが完成します。
fig19

図19 マスターページの作成

ダイアローグボックスを閉じるとマスターページは自動的に保存されます。右ページに対しては、編集->マスターページでダイアローグボックスを開き、左中面を選択し、「選択されたマスターページを複製する」のボタンをクリックし、名前「右中面」を入力します。そして、右中面のマスターページが左中面の正確なミラーイメージになるよう修正します。
左右ページに対して異なるテンプレートで作業するので、両ページを並んだ状態で見ることができる機能を使います。ファイル->ドキュメント設定でダイアローグボックスを開き、ページレイアウトのDouble Sidedを選択しOKをクリックします。


(11)テキストおよび画像の取り込みとフレームの統合
3フレームの最初のものを選択し、右クリック->テキストの取得であらかじめ保存されているファイルscribus2.txtを選び、テキストを取り込みます。この段階では、テキストは最初のフレーム内だけに現れます。すべてのフレームに現れるようにするには、フレームを連鎖する必要があります。最初のフレームを選択し、メニューの「テキストフレームを繋ぐ」アイコンをクリックしてから第2、第3のフレームをクリックすると、最初のフレームに連なり、フレーム間に→が表示されます。
fig17

図17 テキストおよび画像の取り込みとフレーム統合

次にテキスト欄と同じ幅(40mm)の画像フレームを作り、右クリック->画像の取得で、あらかじめ保存されている画像scribuslogo.jpgを取り込み、画像がフレームにフィットするように、縮尺とフレーム高さを調節します。画像フレームとテキストを統合するために、画像プロパティの形状タブをクリックし、Text Flows Around Frameチェックボックスをオンにします。これによって、テキストは当該画像フレームを回り込んで表示されます。
同様の操作を、あらかじめ保存されている画像scribus_head.jpgに対して行い、第3のテキスト欄に置きます。以上で表紙の作成は完了です。


(10)スタイルの作成
フレーム内にテキストを取り込む前に、テキストの書式設定に用いるスタイルを作成します。図16に示すように、メニューの編集->段落スタイルでダイアローグを開き、新規をクリックします。スタイル編集ダイアローグボックス内で名前をText、行間隔を13pt(プレビューにより使用フォントに応じて調整)、配置をブロック型に設定しOKをクリックします。スタイル編集ダイアローグで保存をクリックします。また、新しく名前:Paragraph、行間隔:13pt、配置:ブロック型、段落後間隔:3mmのスタイルを作成し保存します。
fig16

図16 スタイルの作成

スタイルの使用は、テキスト編集画面のスタイル設定ボックスで保存したスタイル名を選ぶことで行えます。


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